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来孫  作者: 赤坂秀一
第一章 未知との遭遇
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6 キャンパスハプニング

お待たせしました第6話を更新しました。


オープンキャンパスに来た響達だが、理系の棟で見た扉がちょっと気になっていた。

 僕達は希美(のぞみ)さんと一緒にランチを食べるため学食に来た。取り敢えず芸術デザイン学部の見学はランチの後にした。


冬野(ふゆの)さんはいつも何を食べているんですか?」


 神谷(かみや)さんがそう訊きます。おすすめって事なのか……


「うーん、私はパスタが多いかな…… でも、ここのオムライスも美味しいのよ」


「そうなんですね、じゃあ私はオムライスにしよう」


 うーん、オムライスでも良かったかな、僕がそう思っていると……


倉橋(くらはし)は何にしたの?」


 希美さんにそう訊かれた。


「僕はカツカレーにしました」


「カレーか! 私もカレーは好きなんだよね」


 えっ! でも、おすすめの中には入ってなかった……


「それで、もう一人の彼は?」


「あいつは多分、ラーメンとチャーハンだと思います」


伊丹(いたみ)君は炭水化物をおかずに炭水化物を食べるタイプだからね」


 いや、神谷さんもよく言うな…… その時何も知らない龍己(たつみ)が帰って来た。


「本当にラーメンとチャーハンなんだ!」


 希美さんは僕達の事、疑っていたのか……


「いや、美味しいすよ!」


 いや龍己君、そういうことじゃ……


「彼は沢山食べるのね!」


 希美さんは一言だけそう言った。多分、他に言葉が見つからなかったんだと思う。


 そんな感じで食事をした後、学食を出たところでサークルの紹介があっていた。ひょっとして勧誘活動? でも試験に合格しないと…… 僕はそう思って見てますけど……


「結構いろんなサークルがあるんですね」


 まあ、サークルに入るつもりはないけど、希美さんが折角案内してくれるからという事で見てます。


「フットサルに軟式テニス、ゴルフ同好会とかが人気かな」


「アーチェリーとかもあるんですね」


 龍己は体育界系だからちょっと興味があるようだな。


「あっ、アーチェリーは大会とかにも出てるみたいだよ」


「希美さんは何かやっているんですか?」


 神谷さんもサークルに入るつもりなのかな……


「ううん、私はサークルよりバイトをやらないといけないから」


「ねえ、倉橋君はサークルやるの?」


 神谷さんに訊かれたけど。


「いや、僕もバイトしないと親の仕送りだけじゃ無理だから」


「そうか…… 確かに大学生になったらバイトは必須だよね」


「まあ、今もやってますけど……」


 そう言いながらも僕達はいろんなサークルを見ていました。


「あっ、ごめん、ちょっとこの辺見ながら待っててね」


「何処か行くんですか?」


「うん、ちょっとね」


 そう言って希美さんは僕に笑顔で応え何処かへ行ってしまった。何かあったのかな。




 私は理工学部で見たあの鍵の掛かった扉が気になっていました。多分案内地図に載せ忘れただけだと思うけど、でも気になります……


 ここだよね。そう思ってもう一度、扉を開けようとドアノブに手を掛けたその時、扉が勝手に開き、台風のような強い風が吹いたその瞬間……


「えっ、うそ! きゃあー……」


 私は悲鳴をあげる隙もなく凄まじい勢いで扉の中へ吸い込まれてしまいました。スカートなのに……


「……」


 イテテ! ちょっと体が痛いですけど…… うーん、暗くて何も見えない。とにかく、出口へ行かないと…… そう思い私は立ち上がりますけど、真っ暗なので思うように動けません。でも、しばらくすると少し目が慣れて何となくだけど回りが解るようになりました。


「あれ、向こうに小さい明かりが見えるけど……」


「誰!」


 いきなり声が聞こえ、私はその声を聞いて心臓が止まるくらいびっくりした。


「あの、理工学部の方ですか?」


 私がそう訊くと、ちょっと可愛い系でショートカットの女の子が話し掛けて来た。


「あなたは、どこから入って来たの?」


「私は……」


 まさか、扉が勝手に開いて吸い込まれたとか信じてもらえないよね……


「扉を開けたの?」


「えっ、扉!」


 この人、扉の事知ってるの?


「いえ、あの…… 勝手に開いて……」


「そう、やっぱり調子が悪いみたいね」


 彼女はそう言って私に近づきます。私、なにかされるのかな……


「うん、怪我はないようね」


「えっ、あっ、はい」


「ごめんね、あの扉ちょっと故障してるみたいなんだよね」


「故障、ですか?」


「うん、あれね、壁とかをすり抜けて中に部屋を作ったり出来るの」


「壁をすり抜ける? 部屋を作る?」


 この人は何を言っているんだろう。


「信じてもらえないかもしれないけど、私は未来から来たの」


「えっ、未来……」


 どういう事? 私、頭を打ったりしてないよね……


「未来って、どうやって来たんですか?」


 私の言葉を聞いた彼女は吹き出して笑った。


「ぷっ、ふふふ…… あいつと同じような事を言うのね」


「あいつ……?」


「タイムマシンで来たのよ! 見たい?」


 タイムマシン? 何言ってるのこの人……


「タ、タイムマシン…… 見れるんですか?」


「うん、山の中に隠しているんだけどね」


「あっ、私登山は無理です」


「そんな事させないよ! 私は未来人だよ、そんなアナログ的な事はしないよ」


「それじゃ、どうするんですか?」


「えっと……」


 彼女はバッグの中を探っています。何を出すんでしょうか……


「あれ、可笑しいな、中に入れてたと思うけど……」


「どうかしたんですか?」


「ごめん、ここから出れなくなったかも……」


「えっ、どういう事ですか?」


「うん、あなたが入って来た扉の調子が悪いからあれを使って外に出れなくなったの」


「えっ、困りますよ! オープンキャンパスで待たせている人達がいるんですよ」


「うーん、私だってちょっとはオープンキャンパスの調査をしようと思っていたんだけど……」


「なにか方法はないんですか?」


「うーん、そうだな……」


 この人、本当に未来人なのかな…… 未来人ならどんな事でも出来そうなんだけど。


「来てくれるかは判らないけどヘルプしてみるから……」


「はあ…… はい」


 仲間がいるならさっさと呼べばいいのに、私、絶対に先輩に怒られる…… いや、倉橋にだってなんて思われるか……




 『ちょっと待ってて』と言っていなくなった希美さんが戻って来ません……


「響、冬野はどうした?」


 誠司さんは希美さんが僕達のそばにいない事に気付いて声を掛けて来た。


「それが、ちょっと待っててと言って何処かへ行ってしまって戻って来ないんです」


「そうか、なにかあったのかな……」


「それじゃ、私が案内しょうか!」


 誠司さんのそばにいたこの人は、確か三嶋(みしま)さんだよね……


「それじゃ、水嶋(みずしま)頼む」


「はい、了解!」


 あっ、水嶋さんだった……


「あの、あなたも芸術デザイン学部なんですか?」


 龍己がそう訊いているけど……


「うん、そうだよ、君達も同じ学部を受験するんでしょう」


「はい」


「それじゃ君達は後輩君になるんだよね、よろしく」


「はい」


 この二人とは気が合いそうな人だな。


「なあ響、あの水嶋さんって人も結構美人だな」


「ああ、うん……」


 そんな事より希美さんどうしたのかな……


「伊丹君は女なら誰でも良いんじゃないの?」


「何だよそれ……」


「今言った通りよ!」


「そうかよ、でも、おまえを選ぶ事はないよ!」


「それは良かったわ!」


 まったくこの二人は……


 その時、僕のスマホがなりました。誰からだろう。


「もしもし」


『あっ、響君』


 この声は、来夢!


「何で僕の番号を知っているんですか?」


『それは、私が未来人だから』


 何言っているんだこの人は?


「切りますよ!」


『ちょっと待って! 今、大学にいるんでしょう』


「はい、いますけど」


『お願いだから理系の方に来て欲しいんだけど』


「理系の方はさっき案内してもらいました」


『お願い、女の人と一緒なんだけど、出れなくなって』


 仕方ないな……


「どこに行けばいいんですか」


『ありがとう、中央廊下で理系の方へ来て、そこに扉があるから扉を開けずにファスナーのつまみを使って』


「ファスナーのつまみなんて持ってないけど」


「大丈夫、制服のズボンのポケットに小さいのが入っているから」


 僕はポケットに手を突っ込みますけど、えっ、いつのまに…… 理系の扉、出れなくなった? 女の人! まさか希美さん。


「来夢さんすぐに行きます」


 僕はそう言ってスマホのスイッチを切りました。


「三嶋さん、ちょっとトイレに行って来ます」


「えっ、私は水嶋だけど……」


「すぐ戻ります」


「いや、トイレはあっちだよ」


 水嶋さんがそう言うのも訊かず僕は理系の方へ走って行った。


 あった! さっき希美さんと一緒に見た怪しい扉。やっぱり来夢と関係があったんだ。あいつ一体何をやっているんだ!


 僕は来夢に言われた通り、小さいファスナーのつまみを扉に押し付けて下へ引っ張った。すると、中の部屋へ入れる入口が出来たその時、最初に現れたのが来夢だった。


「はあ、やっと出れた!」


 こいつ何故ここに……


「何やってるんですか?」


「ちょっとした調査よ」


 その後に希美さんも出て来た。やっぱり彼女も関わっていたんだ。まさか、希美さんも来夢の仲間?


「えっ、倉橋! 倉橋も、未来人なの?」


 えっ、突然そう訊かれたけど、まあ、そう思われても仕方がない閉じ込められた二人を僕が救い出したんだから…… という事は希美さんは来夢とは関係ないってことか…… でも来夢の奴変な事言ってないだろうな。


「僕は違いますよ」


「でも、この女の人と仲間なんでしょう」


 僕と同じような誤解を……


「いえ、仲間になったつもりはないです」


「そうそう、響君は仲間じゃないよ! ただ部屋を間借りしてるだけ」


 おいおい、そんな事を言ったら余計に可笑しくなるだろう。


「えっ、一緒に住んでるの?」


 彼女は僕を軽蔑した目で見ている。


「いいえ、そうじゃなくてUFOとの出入口に使われているだけです」


 僕はなるべく冷静を装って言いましたけど……


「えっ、UFO? タイムマシンじゃないの?」


 しまった! これは言ってはいけないワードだった。


「もう、UFOじゃないって! 何度も言わせないでよ!」


 また来夢からそう言われてしまったけど、希美さんもタイムマシンの事を来夢から訊いてるみたいだ。


「あっ、そうだ! タイムマシンを見せてくれるんでしょう」


「うん、もちろん! 今から行こうか」


 あっ、それは……


「オープンキャンパスはどうするんですか?」


 僕がそう訊くと……


「あっ、そうだ! ねえ終わってからでも良い?」


「うん、良いよ!」


 なんだか二人は意気投合したみたいに話をしている。


「ねえ、倉橋も一緒に行こうよ」


「えっ、僕も……」


「響君は一度見てるもんね!」


 来夢がそう言った時、希美さんは僕の事をジッと見つめています。


「倉橋ずるい! ひとりで見に行くなんて」


 えっと、希美さんってこんな人だっけ……


「じゃあさ、あとから一緒に来れば良いじゃない」


「うん、そうする」


「響君の部屋に来れば良いから」


「うん、じゃあね!」


 なんとも女子トーク満載な感じだった。

来夢の仕掛けた部屋から脱出出来た来夢と希美だけど、響の事は不審に思っている。しかし、タイムマシンを見に行く事を楽しみにしてる希美もまた、巻き込まれる事に……

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