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来孫  作者: 赤坂秀一
第一章 未知との遭遇
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3 バイトと勉強会

お待たせしました第3話を更新しました。


森の中でタイムマシンを見せられた響は、非現実的な事態に困惑しているようです。


希美は彼に振られた後、気を紛らすためにまたバイトを始めたようです。

 今日私、冬野希美(ふゆののぞみ)はコンビニでバイトです。


「冬野、外仕事頼む!」


 大体、外仕事ってある程度慣れた新人の仕事なんですよね。今度新人が来たら、早くその子に教えないと、別に嫌じゃないですけどね。


「はい、行って来ます」


 今日は大学の先輩鷹島(たかしま)先輩と一緒のシフトです。えっと、ちなみに外仕事というのはゴミ箱の袋の交換と交換したゴミの片付けと駐車場付近の掃き掃除です。片付けたゴミは週に三回くらい業者の方が引取りに来てるようです。私はまず、ちょっと長めの髪を束ねてからペットボトルの袋の交換をしようとした時でした。


「あの、これ良いですか?」


 お客さんが空のペットボトルを持って来たみたいです。


「あっ、どうぞ!」


「すみません」


 そう言って空のペットボトルをゴミ箱に入れたのは……


「えっ、倉橋(くらはし)?」


「あっ、の、希美さん……」


「嬉しい、私の名前覚えていてくれたんだ」


「はい、教えてもらいましたから…… 髪はどうしたんですか?」


「えっ、仕事をしやすいようにお団子に束ねただけよ」


「そうですか、そっちも良いですね」


「えっ、えっとそれよりこの辺に住んでるの? 今日はお買い物?」


 倉橋が変な事言うから色々訊ちゃった。でも、あんまり訊き過ぎると迷惑だし嫌われるよね…… 私、顔が赤くなっていないかな……


「あっ僕は…… 環状西通の西条の森(さいじょうのもり)公園近くのアパートなんです」


「一人暮らしなの?」


「はい、両親は仕事の都合で横浜にいるんです」


「そうなんだ…… 私のアパートも西条の森公園の側なの、近くだね!」


「はあ…… そうですね」


「おーい、やっと来たな」


 えっ、鷹島先輩? 倉橋の事知ってるのかな?


「あっ誠司(せいじ)さん」


「相変わらずテンション低いな、(ひびき)、早く店長に挨拶して来い!」


「はい」


 そう言って倉橋はコンビニの中へ入って行きました。


「冬野、今日からあいつここでバイトするから色々教えてやってくれ」


「あっ、はい! 先輩、倉橋の事知ってるんですか?」


「ああ、あいつとはガキの頃からの付き合いで、あいつが高校生になる時、親父さんの仕事の関係であいつこっちに一人なんだ! 良かったら仲良くしてやってくれ」


「あっ、はい……」


 その後私は、倉橋に寄り添ってレジを教えます。昔と違って今のレジは簡単です。ほとんどがバーコード管理で、支払いもほぼセルフですから、ただ、クレジットの方はカードの種類によって方法が違うのでそれを覚えるのが大変です。


「希美さん、JGCカードはカードリーダーで良かったですか」


「うん、えっとカードをリーダーで読み取って……」


「いや、カードじゃなくてスマホなんだけど」


 お客さんは困惑気味にそういいます。あっ、カードじゃないのね……


「すみません失礼しました」


 そう言って私は、スマホのバーコードを読み込みました。


「有難うございました」


「同じカードでもスマホの場合はまた違うんですね」


「うん、そうなんだよね」


 本当、結構面倒なんだよね……


「コンビニでカードとか使わなくても現金で良いと思いますけど……」


「響、そう言うな、みなさんポイントが欲しいんだよ」


「はあ、ポイントですか…… でもそれならハチコカードでも良いんじゃないですか」


 そうよね、ハチコカードならハチコのボタンを押すだけ、お客さんもポイントを貰えるんだもんね! でも私も鷹島先輩から教えてもらった時は大変でしたからね。


 その日のバイトは夜の八時くらいに終わりました。


「響、飯食いに行くぞ! 冬野も一緒にどうだ!」


「あの、先輩すみません。この後模試の勉強会を友達とするので」


「あっ、そうなのか受験生は大変だな、冬野は?」


「私も大学の課題をしないといけないので……」


 いや、倉橋が来ないのに先輩と二人というのは無理というか……


「そうか、じゃあ仕方ない帰るか!」


「はい、お疲れ様です」


「お疲れ様でした」


 私と倉橋はそう言って鷹島先輩と別れました。でも倉橋とは途中まで一緒なので…… でも、二人きりだと何を話して良いか緊張します。ちょっと意識し過ぎかな、そう思いながら私が上の空で歩いていると……


「希美さんあぶない!」


 倉橋が右後ろから私の肩に触れ私は驚いて急停車です。その直後、脇道からの車が私の目の前を通り過ぎて行きました。びっくりした……


「あ、有難う……」


「小さな横断歩道でも確認しないと、何か考え事ですか?」


「う、ううん、ちょっとね……」


 倉橋と一緒だから緊張してとか恥ずかしくて言えない。でも、肩に触れられたときはびっくりした。でもそのまま……


「あの、アパートまで送りますよ」


「あっ、大丈夫だよ! あそこから右に入ったとこだから」


「でも…… 心配ですから」


 いや、私の部屋まで来られたら私……


「本当に大丈夫、ありがとう、じゃあね、お疲れ様」


 そう言って私はアパートの方へ入って行きました。でも…… やっぱり送ってもらっても良かったかな、そうすれば…… もう、私は何を期待しているんだろう、はあ…… 恥ずかしい……




 希美さんと別れた後、僕は自分のアパートへ、でも希美さん大丈夫かな…… 何だか上の空で考え事をしてるようだったけど、まあ心配だけど、すぐにアパートって言ってたから大丈夫かな…… あっ、それより来夢(らいむ)は来てないだろうな! この間から僕の部屋をUFOとの出入口にしてるからな、神谷(かみや)さんと龍己(たつみ)が来る前に確認しておくか……


「あっ、倉橋君!」


「えっ!」


 そこにはいつものお洒落なメガネをかけた神谷さんがもう来ていた。神谷さんの髪ってそんなに長くないんだな…… 彼女の髪は肩に届くかどうかくらいの長さです。希美さんと逢ってからというもの僕は女性の髪の長さが気になっていて、いつも希美さんと比べてしまいます。


「あっ、神谷さん! 早かったですね」


「うん…… ひょっとして迷惑だった?」


「いや、そんな事はないけど、ちょっと部屋が散らかっているからここで待っててもらって良いですか」


「あっ、良かったら片付け手伝うよ」


 そう言ってもらえるのは嬉しいけど、本当のところ来夢がいるかどうかの確認だけだから……


「いいよ、すぐ終わるから下で待ってて」


 そう言って僕はアパートの階段を登り鍵を開けて部屋へ入った。


「あっ、お帰り! 夜ご飯食べた?」


 あっ、やっぱりいた…… 確認して正解だった。


「悪いけどUFOに戻ってもらって良いですか」


「えっ、UFOじゃないから何度言ったら解るの?」


「いや、だから…… 今から友達と勉強をするから」


「それじゃ、夜ご飯を私が作ってあげるよ! 料理はちょっと自信があるんだ」


「いや、君がここにいるとまずい事になるから.……」


「なんでよ! 勉強の邪魔はしないから」


「そうじゃなくて、なんて説明するんですか!」


「あっそうか、うーん、未来から来た来夢です! とか」


「そんなんで信じてもらえるとでも」


「もう、解ったわよ! タイムマシンに戻れば良いんでしょう」


 彼女はそう言った後は無言のままタイムマシンへ戻って行った。

何だか悪い事をしたとは思うけど…… なんとも言い訳が出来ないから…… それにここは僕の部屋なのに、何故僕が遠慮しなければいけないのか……


「よお響、片付け終わったか!」


 わぁ! 龍己……


「龍己、下で待ってろって」


「おまえさ、エロ本でも隠してるのか?」


「そんな訳ないだろう」


「あっ、DVDの方か、今度俺にも見せろよ」


「はあ…… おまえと一緒にするな」


「なんだよ、おまえだってエロDVDの一つや二つは持ってるだろう」


「いいや、持ってない。龍己とは違うんだよ」


「なんで知ってんだよって言うか今度一緒に見るか」


 やっぱり持ってるのか……


「必要ない」


「はあ、やっぱモテる奴は良いよな」


「ねえ、もう入っても良い。ちゃんと隠した?」


 あっ、神谷さんも下で待っていれずに二階に上がって来た…… っていうか僕は無実だ!


「いや、変な物は無いから! どうぞ」


 まったく、龍己の奴なんて言ったんだか、変なこと言ってないだろうな……


「響、ピザの宅配頼んだから一緒に食べようぜ」


「ああ、そうだな、じゃあ始めようか」


 その後勉強を始めたが、すぐにピザが届いた。


「まずは食べてからにしようぜ!」


 神谷さんは龍己の方をジッと睨んでいるような……


「なんだよ、神谷!」


「伊丹君って緊張感ないよね」


 まあ、神谷さんが言ってる事は間違いない。


「そんな事言うなよ。お腹減ってないの?」


 まあ、時間的にもそうなんだけど、わっ! 壁のところにファスナーのつまみが…… 僕は急いでつまみを取ろうと壁のそばへ…… でも、取れない。


「私の料理よりピザの方が良いのね!」


 などと壁越しに来夢の声が……


「とにかく、おとなしくしてください」


 僕は小声でボソボソと壁に向かってそう言った。まったく、これじゃ僕は不審者だ。


「倉橋君、壁に向かってどうしたの?」


「いや、なんでもない」


「今日の倉橋君変だよ」


「そうですか……?」


「別にエロ本持ってても私は気にしてないから」


「いや、本当に持ってないですから」


 はあ…… 今度からは違うところで勉強しよう。土日の昼間に図書館とか……


「ねえ倉橋君、ここが解らないんだけど…… 教えてくれる」


 神谷さんはいつもと違った雰囲気で僕に話しかけてくる。


「あっ、ここは……」


 こうやって二人で勉強してると神谷さんもなんとなく可愛く思う。やっぱり今日の僕は可笑しいのか…… こんな感じで僕達は勉強した。その後も神谷さんは、意外と僕になんでも訊いて来た。僕よりも神谷さんの方が成績は上だと思っていたけど、でもすぐそばで僕のことを見つめるように話をされると何だか緊張してしまう……


「なあ、ひょっとして、俺はいない方が良いかな」


 こいつはいきなり何を言い出すのか…… でも、解るような気はする。


「伊丹君、あまり気を遣わないで! あなたがいないと私、勉強に集中出来ないから……」


 なんだか、意味深だな……


「それって、俺にも好意があるって事か?」


「そうじゃないわ! あなたがいないと倉橋君と二人きりになるでしょう」


 いや、僕もそれは困る…… などと、色んな考えが考察した勉強会は二時間くらいで終わった。


「それじゃな倉橋! 神谷も気をつけて帰れよ」


 そう言って龍己は帰って行った。


「神谷さん、送るよ」


「ねえ倉橋君、私はいつでも良いよ」


「えっ、なにが?」


 神谷さんは何が言いたいのか……


「エロ本より本物が良いでしょう」


 いや、本当に持ってないから……


「あの、そんなつもりはないですから……」


 彼女は一瞬俯いたような、でも……


「フフ、冗談よ! おやすみ」


 神谷さんってたまに変な事を言うよな……

何とか無事に勉強会は終わりました。あの二人、変に思ってなければいいんだけど……



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