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来孫  作者: 赤坂秀一
第三章 秘密
23/52

22 従姉妹?

お待たせしました第22話を更新しました。


最近、城南市上空でUFOがよく目撃されている。これは、何か対策をしなければ……

 まさか、城南市(じょうなんし)上空を沢山のUFO! いや、沢山のタイムマシンの目撃情報があるとは、しかも明奈(あきな)ちゃんの中学校では話題になっている…… 困ったものだ。


 あっ、希美(のぞみ)さんからLINEが来ていた。僕はLINEを見てびっくりした。


倉橋(くらはし)大変だよ! 私の友達二人がUFOを毎日のように目撃してるんだって! どうしよう。柴咲(しばさき)さんに言った方が良いかな』


 希美さんの友達二人! 多分、水嶋(みずしま)さんとあと一人は名前を思い出せないけど…… しかし、これはきちんと報告した方が良いかな。


 僕は柴咲さんにタイムマシンの目撃者が多い事を時空電話を使って報告した。


『解った! 警備局のタイムマシンは、もっと高度を取るように指示する』


 高度を取って山中に垂直に着陸する事が出来れば昼間の目撃数を減らせるかも知れない。夜は小さい光が変な動きをするように思われるかも知れないが、今より目撃数は減るんじゃないかと思う。


 とにかく対策をとって目撃数を減らさないと、UFOが西の空や北の空の山頂付近で消えたと噂が出れば、UFO探しの山狩があるかも知れない。そうなっては困るから……


 そう思いながらアパートの部屋の扉を開けると、当たり前の様に来夢がいた。


「あっ、お帰り! 晩御飯食べるでしょう。今日は奮発してお肉にしたんだよ!」


 この会話は恋人や夫婦がよくするやつのような…… 僕の部屋は、いつの間にか来夢(らいむ)の巣窟になったようだ。まあ、食事を作ってもらったりで有難いんだけど、僕が留守の時に誰かが来るとまずいと思う。まあ、父さんや母さんが来る事は無いとは思うけど…… 母さんがこの光景を見たらなんて思うだろう…… いや、父さんの方が大変かも知れない。母さんは意外に来夢と友達になるかも…… まあ、考えすぎかな。


「来夢さん、最近UFOの目撃者が多いそうです」


 僕は参考書片手にソファーに腰掛けながらそう言った。


「うん、知ってる! 今日もサーチしてたら何人か山に入って来る人を見たよ」


「えっ、それって大丈夫なんですか?」


「まあ大丈夫だよ、タイムマシンがあるところは山頂付近の木々が鬱蒼としたところだし、カモフラージュだってしてるから一般の人には判らないよ」


 まあ、確かにそうだけど……


「警備局のタイムマシンは何処に駐機してるんですか?」


「私が止めている所の反対側のスキー場の南側の斜面に岩や丘みたいにカモフラージュしてるよ」


 そうか、スキー場付近に集結しているのか…… でも、舞龍(まろん)達は何処にいるんだろうか、一応来夢に訊いてみた。


「知らない! でも、スキー場付近にはいないみたいだよ」


「それじゃ、二十一世紀にはいないって事ですか?」


「さあね、何、(ひびき)君は舞龍の事が気になるの!」


 何を馬鹿な事を……


「彼奴らが、どうなろうと知らないけど、こっちに被害が及ぶと迷惑だから」


 そうだ! あんな奴らはいなくなれば良いのに……


「そうだね……」


 来夢は、本当に判っているのかな……


「あっ、そう言えば、今日響君の友達が来たよ」


「えっ、友達?」


「うん、男の子は背が高くて、響君と違って身体がガッシリしてたかな……」


 多分、龍己(たつみ)だな…… という事は、神谷(かみや)さんもいた?


「もう一人はお洒落な眼鏡を掛けていて、髪を肩くらいまで伸ばしている真面目そうな()なんだけど、知ってる?」


 はいはい…… よく知ってますよ! ついでに言えば僕に好意を持ってくれている女の子だ。でも僕は不安になった。今気付いたけど二人からメールが来ていた。


『響、おまえの部屋にいるショートカットの女の子は誰だ! どうしておまえだけがモテるんだよ! 今度俺に紹介しろよ』


「ふーん、私の事そういう風に見えているんだね」


 来夢が僕の横からスマホを覗いていた。


「勝手に見ないでくださいよ!」


 来夢はニコニコ顔で僕を見てるけど……


「私って可愛い女の子に見られてるのかな! それでどうするの、紹介してくれるの?」


 紹介! そんな事出来る訳がない!


「どうして、そういう発想になるんですか?」


「じゃあ、どうするの? 一掃の事、本当に付き合っちゃう!」


 来夢は本気なのか! って言うか顔が熱いし恥ずかしい…… たぶん、僕の顔は赤く火照っているに違いない……


 そんな僕を見た来夢が……


「まったく、冗談だよ! 本気にしないでね」


 そう言いながら来夢も少し頬を赤くしてる? 大体先に言い出したの来夢だろう!


「そんなの当たり前です。大体無理に決まっている来夢さんは未来人なんだから……」


 僕がそう言った時、来夢はちょっと淋しそうな顔をしたように見えた。えっと、ちょっと言い過ぎたかな……


 あっ、そう言えば、神谷さんからもメールが来ていたけど、彼女はどう思っているのか……


『倉橋君は女の子にモテるのね! 希美さんとも良い感じだし、本当何人の女の子と付き合っているの? 最低!』


「あちゃ、こっちはもっと大変だね……」


 またもや僕の隣で来夢がスマホを覗いていた。


「はあ……」


 もう、溜息しか出ない……


「どうするの?」


 どうするのって、元はと言えば来夢が悪いんじゃないか!


 僕は何も言えなくなった……


「ねえ、私の事は響君の妹という事にしたら?」


 えっ、いや、しかし、何故妹……


「確か前に、一人っ子と言った気がします」


「そんなの覚えてないって」


 いや、流石に無理があるだろう。僕は頭を抱えてしまった……


「ごめん、私が勝手な事をしたから……」


 来夢も少しは悪いと思ってるかな?


 まあ、今更だし…… もう、良いかな……


「ねえ、それじゃ、従姉妹という事にしたら! そこまでは友達も知らないでしょ」


 まあ、確かにそこまでは話した事は無いけど……


「私がこっちの学校に行くことになったから、しばらく一緒に住む事になったってことで」


「いや、何故僕より年下という設定?」


「私って響君より老けてる?」


 いや、そんな事を言ってる訳では……


「来夢さんの方が、僕より大人な感じだからです」


「まあ、そうだよね! それじゃ、年上のお姉さん的従姉妹がこっちで仕事する事になったからしばらく一緒にって事で良い?」


 はあ…… それしかないか……


「判りました…… あっ、でも、名前どうします? この間の3℃(サンドシー)の事件のとき、来夢さんの名前でメールがばら撒かれていますよね」


「あっ、そう言えば…… でも、良いんじゃない。そんなの覚えている人はそんなにいないでしょう!」


「いや、それは不味いですよ!」


「もう、注文が多いな!」


 こんな事になったのは誰の所為だよ!


「うん、判ったよ! それじゃ胡桃(くるみ)って名前で良い?」


 えっ、胡桃?


「はあ…… まあ、良いですけど……」


 もう、この際だから何故なのかは訊かない。これで、上手く行くのなら……


「よし、これで好きなだけここに居ても良いよね!」


 また、来夢の奴が変な事を言わなきゃ良いけど、仕方がない……


 そうと決まったら神谷さんにきちんと言っておかないと、あっ、ついでに龍己にも……


『神谷さん、僕の部屋にいた女性は従姉妹の胡桃さんです。城南市に就職が決まって暫くの間、僕の部屋に居候なんです』


 良し、これで大丈夫かな…… あと、龍己にも説明しとかないと……


『龍己、勘違いするな! あの女性は従姉妹なんだよ。こっちで就職が決まったらしくて、龍己、手を出すなよ!』


 龍己にメールを送った時、神谷さんからメールが来た。


『倉橋君、なんか勘違いをしてごめんね!』


 神谷さんの誤解は解けたようだ。良かった……


 しかし、これで来夢の自由な時間が広がった。一応名前も倉橋胡桃という事になった。


 本当に来夢を自由にして良かったのか、凄く気になる……



 今日から明日に掛けて模擬試験だ。色々あった所為で定期試験の成績が少し落ちてしまった。入試に支障が出るほど悪くは無かったが、神谷さんが僕との差が少し縮まったと言っていた。


 本当に、神谷さんは僕より成績は下だったらしい。まあ、そんなことでこの模擬試験は少し頑張らないと、舞龍達も今のところ大人しくしているようだから、でも本当に二十一世紀にいるんだろうか……


 初日の試験が終わり、龍己達と一緒に帰っている途中だった。


「響君!」


 僕の名前を呼ぶ声が……


「なあ響、あの娘おまえの従姉妹じゃ無いのか?」


 えっ! そこには来夢がいた。


「来夢……」


「えっ、ライム?」


 しまった! つい本名で呼んでしまった……


「響君、何言ってるの! 胡桃だよ」


 来夢は僕の事をちょっと睨んだような目で見た。


「あっ、胡桃さん! 僕……」


「うん、知ってる。伊丹龍己(いたみたつみ)君だよね。それとあなたは、神谷冬美(かみやふゆみ)さんだよね。響君がいつもお世話になってます」


「あっ、いえ、こちらこそお世話になってます」


 なんだ、この展開は…… どうして街に出て来た?


「ねえ倉橋君、ライムってなに?」


「えっ!」


 神谷さんに言い間違った事を訊かれた!


「胡桃さんを見て、ライムって言ったよね!」


「もう、響君は偶にそうやって変な事を言うんだよね!」


 来夢はそう言って神谷さんと龍己の事をジッと見ている。


「えっ、変な事って…… あれ……?」


 来夢の奴、何見てんだ……


「神谷さん、どうかしたの、大丈夫?」


 来夢がそう訊いているけど、何があった?


「うん、私…… 何を言ってたんだっけ?」


「えっ!」


 来夢の奴、何をしたんだ!


「響君、もう終わったんでしょう、一緒に帰ろう」


 来夢にそう言われた。


「響、そんじゃな! 胡桃さん、さよなら」


 するとあの二人がすんなりと帰って行った。普通なら色々と訊いてくるはずなんだが……


「来夢さん、なんで街にいるんだよ!」


「良いじゃん別に、それより名前間違えないようにね!」


「あっ、うん……」


 来夢は一体、街に出て来て何をやっていたのか…… また、何か良からぬ事をやっていたなんてないよな……


僕の友達と来夢が出会ったため来夢を僕の従姉妹にしてしまったが…… これで来夢を二十一世紀で自由にしてしまった。

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