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来孫  作者: 赤坂秀一
第二章 闇の組織
21/52

20 タイムマシンの所有者?

お待たせしました第20話を更新しました。


山田颯太が脱走した。しかし、舞龍と圭子を二十一世紀で響は目撃している。誰が脱走の手引きをしたのか……

 山田颯太(やまだそうた)が脱走したと叔父さんから連絡があった。脱走の手引きを舞龍(まろん)達がやったのかと思ったが、そういえは舞龍と圭子(けいこ)は二十一世紀にいた。それに僕はこの目で目撃した。そうすると…… ひとりで拘置所からの脱走は無理なはず、それならやっぱり警備部長が手引きをやったのか? まあ、警備局が二十一世紀に来てくれると言う事だけど……


(ひびき)君、希美(のぞみ)さんもちょっと良い?」


 脱走の件を考えていたら来夢(らいむ)にそう声を掛けられた。


「どうかしたんですか」


「二人にお願いがあって」


 お願い? 来夢の事だからまたよからぬ事を言い出すんじゃ……


「響君、なに顔を顰めてるの?」


 うっ、顔に出てた!


「別に面倒な事を押し付ける訳じゃないよ」


 いや、充分巻き込まれています。


「これをスマホにインストールして欲しいの」


「何ですか、それ……」


「いいから、いいから」


 その、いいからが一番怖い。僕は言われた通りインストールしたらIDとパスワードを訊いて来た。


「来夢さん、これなんですか?」


「タイムマシンの操作マニュアルだよ!」


「操作マニュアル!」


 マニュアルって事は、操作方法の説明って事だよな……


 そこにIDとパスワードを入力することで来夢のタイムマシンを動かす事が出来るという事だった。


「いや、タイムマシンなんて操作出来ませんよ! それに来夢さんのスマホが無いと中にも入れないから」


「だから、響君のスマホで出来るようにするんじゃない! それに、操作は簡単だし、あとはAIで自動制御だから」


 そうは言うけど……


「来夢さんこれで良い?」


 希美(のぞみ)さんは、何の不信感もなく、設定を終えたようだ。


「ほら、倉橋(くらはし)も早く! 一緒に操縦してみようよ」


 希美さんはやる気満々だけど……


「こんな経験は、滅多に出来ないよ」


 まあ、普通はそうだろう別に経験しなくてもいいけど……


 とは言ったものの、来夢と希美さんに急かされて僕は、IDとパスワードを入力して、設定を終わらせてから三人でタイムマシンが隠してある城北(じょうほく)町、スキー場近くの山の中へファスナーを使って行った。


「希美さん、スマホのホーム画面のTMをタップして」


 これをタップするとアプリが開いてタイムマシンの操作画面になるようだ。


「タイムマシンに乗る時はenterを降りる時はexitをタップしてね」


 なるほど、その辺は分かり易い。他には、ホーム設定って何だ? そんな事を思っていたら、来夢と希美さんはオレンジ色の光に包まれていた。


「倉橋、早くしないと置いてくよ!」


 えっ、張り切ってるな、希美さん……


 僕も、希美さん達がタイムマシンに乗った後、Enterをタップしオレンジ色の光に包まれて乗り込んだ。


「来夢さん、ホーム設定って何ですか?」


「響君も、やっと興味を持ってくれたようね」


 そう言われると、来夢に負けたような気がしてちょっと悔しいけど……


 来夢の説明によるとホーム設定とは、何かトラブルがあったときでも設定した時代、要するにホームにボタンひとつで戻って来れる為の設定らしい。


「要するに、1185年鎌倉幕府の時代、あれ、1192年だっけ?」


 えっ……


「まあ、そこで緊急事態が起きても2024年には戻って来れるって事!」


 あっ、例え話ね。


「何もしないで戻れるんですか?」


 希美さんって機械音痴?


「ホームボタンだけタップすれば良いんだよ!」


 来夢が希美さんにそう説明してるけど、なんとなく理解出来てないような……


「それ、良いですね」


 確かに、それについては便利だし、安全性が確保されていると思う。舞龍達に追われて急いでいる時も、ホームボタンをタップすれば良い訳だから。


「未来や過去へ行く時はどうするんですか?」


 今度は僕が先に訊いてみた。でも、希美さんが訊きたかったようで悔しそうに僕は睨まれてしまった。


「未来や過去へ行く時は、まず起動ボタンをタップして、行きたい年号を入力、日付や時間は現在のままでも良いし、変更する事も出来るよ! 後はスリップボタンをタップすれば良いんだよ!」


 ふーん、意外と簡単なんだな。後は全てAI任せと言う事か。まあ、これなら誰でも使いこなせるかな! そう思ったけど、希美さんはまだ、理解出来て無いようだ、やっぱり機械音痴なのかな……


「それじゃ、まず試験操作してみよう!」


 来夢の奴ノリノリだな……


「それで何処に行くんですか?」


 僕の問いに来夢は……


「そうだね…… まずは希美さんの操縦で2236年に行ってみよう!」


 2236年? 二十三世紀! なんだ、来夢が住んでいる時代か。


「それじゃ希美さん、まずは起動ボタンをタップして!」


「う、うん」


 希美さん、ちょっと緊張してるかな……


 希美さんは恐る恐る起動ボタンをタップした後『ウィーン……』という音がした。


「えっ、変な音がしたけど、大丈夫? 壊れてない?」


 機械に対して相当コンプレックスがあるような…… でも、パソコンは希美さんの部屋にあったよね……


「希美さん、問題ないよ! さあ、年号を入力して!」


 希美さんは自分のスマホに、初めての電話番号のところに電話するような感じで、ゆっくりと慎重に年号を入力した。


「よし、スリップ!」


 そう叫びながら希美さんはスリップボタンをタップした。


 その後、タイムマシンは『キュイーン』という音を立てた後、静かになった。


「来夢さん、今は時空空間ですか」


「うん、でも、もうすぐ着くよ!」


 すると、『キュイーン』という音と共にちょっと横揺れしたくらいで止まったようだ。


「着いた?」


 僕がそう訊いたら……


「うん」


 来夢からそう返事があった。


「それじゃ希美さん、サーチボタンをタップして」


 サーチボタンって何かを調べる時に使ってたシステムだよな。


「希美さん、このモニターを見て」


 タイムマシンのモニターにはいくつかの場所に緑色の四角いマークがあった。この中から選んでランディングボタンをタップすると自動で着陸するとの事だった。


 流石、未来にはタイムマシンを停められる駐機エリアが結構あります。って、僕達は勝手に未来の街へは行けなかったんじゃ……


「来夢さん、僕達は未来の街へは行けない規則ですよね」


「観光客としては無理だけど、響君も希美さんもタイムマシンの所有者だから問題ないよ」


 所有者? それって何の話? いつから所有者になったのか……


「どういう事ですか?」


「来夢さん、私はタイムマシンなんて持ってないですよ」


「だって、私のタイムマシンを操縦出来るようにIDとパスワードを入力したでしょう」


 うん、それは間違いないと言うか、来夢から半ば強引にさせられたと言ってもいいくらいだ。


「確かに入力したけど、それで所有者になる訳?」


「うん、だから、私のタイムマシンTM2175Fは、私と響君、それと希美さんの三人の所有になったの!」


「……」


「それって、大丈夫なんですか? また変な事にならないですよね……」


 後で莫大な請求があったりしないよね……


「別に心配いらないから、ただ、所有者になって、未来の街に入れるようになっただけだから!」


 来夢からそう説明を受けたけど、訳が判らないまま、僕達は駐機エリアに降りた。僕達三人がタイムマシンから降りると来夢の叔父さんが出迎えてくれた。


「やあ、響君、希美さんようこそ二十三世紀へ」


 叔父さんにそう言われたけど、今回の件は、どうやら警備局が来夢に指示した事のようだ。


「叔父さん、一体どういうことですか!」


 僕はそう訊いたけど、叔父さんは何も言わずに僕達をJD3Sに乗せて時空管理警備局へ連れて行った。


 一体どうなっているのか……


「響君、何も言わずにこんな事をして済まなかった」


 来夢の叔父さんから丁重にお詫びの言葉があった。今回の件については、警備局で誰にも聞かれないようにと事が行われていたようだ。


「実は不本意ながら響君と希美さんにはしばらくの間、監視を付けたいと思っています」


 叔父さんはそう言って説明を始めた。


 まずは、僕と希美さんを未来に呼ぶ為にタイムマシンの所有者にして未来へ来てもらったという事、所有者になれば機体の操縦も出来るのでそうしたらしい。


 しかし、本題はここからだった。今回、山田颯太が拘置所を脱走したことで状況が変わったようだ。


「今回脱走の手引きをしたのは舞龍で間違いないと思う」


 叔父さんの横にいる警備局員からそう言われた。この人は……


「あの、こちらは?」


「失礼、私は警備局副部長の柴咲隼斗(しばさきはやと)です」


「あの、僕は二十一世紀で舞龍と圭子を見ました」


「それは、向こうも君に気付いたのかな」


 いや、そう言えば僕の背後から横を黙って通り過ぎただけだった。


「いえ、僕の後ろから横を通って行ったのに気付いた感じはありませんでした」


「それは多分、ダミーだと思う。向こうも君の事を知っていると来夢さんから訊いている。だったら話さないにしても視線くらいは合うんじゃないかな」


 確かにそうだ! 僕には目もくれずに歩いて行っただけだ。これは…… 僕は奴等に利用されたと言う事か……

山田脱走で、響は舞龍に上手く利用されたようだ。しかも、そんな事を知る事でどんどん巻き込まれてしまった。

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