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来孫  作者: 赤坂秀一
第二章 闇の組織
20/52

19 新たな動き

お待たせしました第19話を更新しました。


バスティーユ牢獄から来夢を救出する時に気になった囚人がいが、その囚人はもういなくなっていたが、それは警備部長だったのだろうか……

 中世フランスのバスティーユ牢獄で警備部長らしき人を見たと僕が証言した事で、警備局員が牢獄内を隈なく探したが見つからなかった。


多分、舞龍(まろん)達が何処かへ移した後だったようだ。来夢(らいむ)に逃げられたので警戒されたのかも知れない。


「ねえ(ひびき)君、何故私が(さら)われたのが判ったの?」


 来夢にそう訊かれた。そう、来夢が居なくなったのは判るけど、何故フランスなのか、何故バスティーユ牢獄なのかが判らないはずだ。そこに来夢も気付いたようだ。


「それは、叔父さんにスマホを使って来夢さんの位置情報を探してもらったんだ」


「それで!」


 その後、来夢のスマホがタイムマシンの側に落ちてた事、監視カメラの映像の事、来夢が消えた付近に奴等が残したファスナーがあって、その先からタイムマシンでタイムスリップした事が判り、時空管理警備局にタイムマシンの行き先を調べてもらった事を話した。


「そうか、だからこれがあるんだね!」


 来夢の右手には調査ノート…… つまりあの日記のような物が握られていた。


「いや、それは…… 土曜日と日曜日の分の最初の方しか読んでないから……」


「結局、読んだんでしょう!」


 それはそうだけど……


「だけど来夢さん! 土曜日の『響君と二人っきりで二十世紀にタイムトラベルした……』ってこれはないだろう!」


「だって本当の事だもん! 嘘じゃないよ」


 来夢の奴は悪びれた様子もなく普通に答えた。


「でも、言い方というか、書き方があるだろう! これじゃ誤解されるだろう」


「誰に?」


 まあ誰にと言われたら、日記なんて本人以外は読む事もないから…… でも、希美さんはどう思うかな……


「いや…… 読んだのは悪かったよ…… でも、来夢さんの事を早く探したかったんだ」


「私の事、そんなに心配してくれてたの?」


 そう言われて、何だか気が抜けたというか、何も考えられずに僕はソファに寝転がり黙り込んだ。


 そんな僕を見た来夢から『可愛い』などと言われ余計に恥ずかしくなった。希美(のぞみ)さんは黙って見ていたけど、ポツリと一言。


「来夢さん…… でも、みんな心配したんですからね!」


 希美さんがそう言うと僕の顔は余計に真っ赤になったような気がして来夢をまともに見る事が出来なくなった。


「うん、判ってる! ありがとう」


 そういう事で、話は終わってしまった。




 その後、僕はアパートに戻った。その時丁度、龍己(たつみ)からメールが来た。


 そうだ、今日火曜日は、学校を休んだのだ。来夢の件で中世フランスへ行かなければならなかったから、そうは言っても学校には風邪で休みますという事にしたけれど……


 しかし、よく考えれば来週から定期試験と模擬試験、それが終われば夏休み…… 大学受験は余裕でも、それなりに緊張して来た。


 なんたって、夏休みが終わればもう追い込みになる。僕は余裕でも周りがバタバタすると、こっちまで慌ただしくなるものだ。


『チン』


 またもやメールが来た。


 今度は神谷(かみや)さんからだ。メールを開くと『ちょっと話があるの。逢えない?』という事だった。


 話って何だろう? とにかく神谷さんがそう言うならと明日、学校が終わった後に逢う約束をした。メールで言って来るくらいだから二人でという事だよな…… 何だかさっきの来夢の話を思い出してしまう。


 しかし、来夢って歳はいくつなんだろう? 僕や希美さんよりも年上なのか……? まあ、どうでも良い話だが、ちょっとは気になる。


 翌日、学校ではあの二人と普通に話をした。


「響、学校休んでなにしてたんだよ! 女か?」


 ったく、龍己の頭の中はそれしか無いのか…… まあ、来夢の件だから女と言われればそう言う事になる。


倉橋(くらはし)君、もう具合は良いの?」


 まあ、前日休んでいたら普通はこう言う話になるはずなのに……


「うん、ちょっと熱っぽかっただけだから」


「何だ、本当に具合が悪かったのか!」


 龍己からそう言われると胸が痛む…… 本当は、来夢救出の為とは言え、中世フランスまで行っていた訳だから。まあ、そんな事を言っても判ってはもらえない、反対にちょっと頭が可笑しくなったんじゃないかくらいに思われるかも知れない。


「倉橋君、本当に大丈夫?」


「あっ、大丈夫……」


 この二人にここまで心配してもらえるとは……


 学校も終わり、僕は図書館へ行くからと龍己と別れたら、神谷さんも僕の後をついて来た。


「倉橋君……」


「うん……」


 そういう事で、僕と神谷さんは近くのカフェに入った。一体、話とは何なんだろう……


「倉橋君、私ね……」


 神谷さんが気不味(きまず)そうにそう話し掛けた時、彼女の視線が僕とは違う方を向いた。よほど話し難い事なのかと思ったが…… その時、僕達の横を見覚えのある二人の女が通っていった。舞龍(まろん)とオレンジのパーカー女、圭子(けいこ)だ。


 奴等は僕に気付く事なく通り過ぎていった。何故奴等がいるんだ! というか、神谷さんが何故奴等を見ているのか、顔見知り…… では無いと思うのだが。


「神谷さん知ってる人?」


 僕は意を決して訊いてみた。


「ううん、知らないわ! でも、この暑いのに何故パーカーなんて着てるのかと思って」


「あっ、そうだね……」


 確かにもうすぐ七月というのにパーカーとは…… それに圭子の後ろにいる舞龍は半袖のシャツな訳だから…… まあ、なにわともあれ神谷さんは、奴等の事は知らないようだ。


「ちょっとごめん、電話!」


 僕は彼女にそう言って席を外して来夢に電話した。奴等は何を企んでいるのか?


『あれ、どうしたの? 響君から電話するなんて珍しいね』


 まったく呑気なものだ……


「来夢さん、今、舞龍と圭子が街のカフェにいます」


『ふーん、彼奴らも暇だね』


「良いんですか、ほっといて」


『うーん、判った! 叔父さんに連絡するから…… それより、折角街にいるんならデートでもしようか』


「はあー! 何でそうなるんですか?」


『だって、暇だから……』


 暇潰しにデートって、やっぱり変な人だ…… しかし、奴等はどういうつもりなのか……


 電話も終わり、僕は神谷さんのところへ戻った。


「あっ、ごめん。それで話って……」


 神谷さんはジッと僕を見つめた後、一瞬目を逸らして……


「ごめん…… やっぱり良いわ」


 女心とは判らないものだ。まあ彼女が僕に好意を持ってくれているのはなんとなく判るけど、受験生である今じゃなくても……


 その後、神谷さんはカフェを出て行った。それよりも、舞龍は!


 カフェの中を見回したがいない…… 奴等は店の奥に入って行った。まあ、しかし、ファスナーを使えば居なくなっても不思議ではない。


「倉橋!」


 希美さんが、カフェに入って来た。どうやら来夢から話を聞いたようだ。


「舞龍がいたの?」


「うん、圭子もいた」


「あの人達、今度は何をするつもりだろう」


 まあ、ちょっと心配なところもあるが見失ってしまっては……


「それより、よくここが判りましたね」


「だって、高校から一番近くで美味しいカフェはここだからね」


 なんだか希美さんには、いろいろと見透かされてるような……


「希美さん、折角なんでコーヒーでも飲みます」


「うーん、コーヒーは私の部屋でも倉橋の部屋でも飲めるからパフェにしようかな」


 僕と希美さんはカフェでしばらくの間お喋りをしてから、アパートへ帰りました。部屋へ入ると僕と希美さんは来夢に睨まれてしまった。


「なに、どうしたんですか?」


「私とはデート出来ないけど希美さんとはするんだね!」


 えっ、デート? 僕は希美さんと顔を見合わせてしまった後、可笑しくなって笑ってしまった。


「何が可笑しいの?」


 来夢は口を尖らせて言っているけど、大体希美さんに連絡したのは来夢なんじゃないのか、デートしたいんなら来夢が来ればパフェくらいはご馳走してやったのに、何をどう思ったのか……


 その時、来夢のスマホがなった。来夢は機嫌悪そうに対応している。


「もしもし叔父さん! どうしたの?」


 やっぱり機嫌が悪い…… とんだとばっちりだ、叔父さんも大変だな…… しかし、こういう時の電話は、ちょっと嫌な予感がする。来夢の表情も少し驚いたような、面倒臭そうなそんな感じがした。一体、何が起きたのか……


山田颯太(やまだそうた)が脱走したって、どういう事!?」


 山田颯太は、元警備局の捜査官で、警備局の情報を漏洩していた為、警備局を懲戒免職となり拘置所に入っていたはず…… それなのに何故、どうやって脱走したのか? 


「舞龍達が脱走の手引きをしたんでしょうか」


 僕がそう言った時、希美さんが否定するように言った。


「でも、可笑しいよ! 脱走したのは、今日なんでしょう舞龍と圭子はこの時代にいたんだよね! それじゃ、タイムマシンで来るのもちょっと無理があるんじゃ……」


 そうだ! あの二人は確かに二十一世紀にいた。という事はやっぱり警備部長が関わっているのか? 山田は警備部長から指示されて漏洩したと供述していた。それじゃ、バスティーユ牢獄でカチャ、カチャと音をたてていた男は、警備部長ではなかった……


「とにかく、山田や警備部長が舞龍達とこの時代で合流する可能性があるから気をつけるようにって叔父さんから」


 来夢からそう言われたけど、どうやって気を付ける?


「警備局はどうするんですか?」


「警備局も二十一世紀に来て警備をしてくれるそうだよ」


 まあ、そういう事になるよね! 警備局が動かないと、二十一世紀の警察じゃどうにも出来ないだろうから……

二十一世紀の街の中に舞龍と圭子が現れた! 来夢を追って来たのか、それとも何か他に目的があったのだろうか……

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