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来孫  作者: 赤坂秀一
第二章 闇の組織
19/52

18 事件の真相

お待たせしました第18話を更新しました。


バスティーユ牢獄に潜入して来夢を救出する事が出来た。途中、舞龍が見回りに来た時は怖かったが、でも、何故来夢を拘束したのか……

 無事、来夢(らいむ)を助け出す事が出来た。しかし、幽閉されていた所為(せい)か、来夢は精神的ダメージはあったのかも知れない。そのためメディカルボックスの中に数分間くらい入っていたようだが、その後元気になって出て来たみたいだ。いや…… どういう仕組みになっているんだろう。


「あっ、叔父さん! 牢獄で私を探している時に警備部長さんを見なかった?」


 来夢は、また妙な事を言い出した。


「あの牢獄にいたのか?」


 来夢は小さく首を振った。


「詳しくは判らないけど、舞龍(まろん)が『あいつも牢獄に入れとけ!』って言っていたからひょっとしてと思ってね」


 来夢から僕にも同じ事を訊かれたけど、気がつかなかったかな…… 大体、未来で一度会っただけだから顔も覚えていない。


 しかし、いるとなれば救出しなければならない。それに情報漏洩の本当の事も訊きたいところだ。


「叔父さん、救出に戻りますか?」


「いや、それは警備局の仕事だ! それに本当に居るかどうかも判らない。まずは君達を送り届けたあと、私はまた、中世フランスに戻る」


「今回、警備局は来てなかったの?」


 来夢も気になったのかそこを訊いている。


「いや、来てたよ! リヨン上空で待機させていた」


 何だ、リヨンまで来ていたならわざわざ僕が救出に行かなくても良かったんじゃ……


(ひひき)君、何か言いたそうだけど」


「えっ、いや、別に……」


 来夢の奴、何言ってんだか、偶に鋭い事を言ってくるんだよな……


「ふふっ、でも、ありがとう」


 来夢が僕の側で、小声でそう言ったけど、何だか悪い気はしないかな。


 でも、そんなとこを見ていた希美さんにちょっと睨まれたような…… まあ、気の所為かな! 別に希美(のぞみ)さんと何かある訳じゃ無いし。


 その後、僕達は現代に戻って来た。叔父さんは、急いで警備局のタイムマシンに乗り換えて、また中世フランスへタイムスリップした。警備局の仕事も大変だ!


「はあ、叔父さんの機体にもメディカルボックスを設置すれば良いのに」


「叔父さんのは付いてないんですか?」


「うん、叔父さんは必要ないんだって」


「警備局の方が余計に必要性があると思うけど…… でも、あれってどういう仕組み? 医療機器?」


「さあ、知らない! 私のは標準装備だったけど」


 標準装備?


「ねえ、それより響君ちょっと良いかな」


 来夢からそう声を掛けられる時は不気味だ。何を言ってくるのか、なんだか気持ち悪いんだけど……


「あのさ、舞龍の事どう思う?」


 えっ、いきなりそれ……


「どうってなにが?」


 来夢の話では舞龍が僕の事をイケメンの良い男だと言っていたらしい。でも、何故そんな話になるのか…… それに、僕はあんな高飛車な女は嫌いだ。


「あの二人は私の友達なんだよ」


 来夢はそう言った後、話し出した。舞龍と賢人(けんと)という男は、来夢の中学時代の同級生で、よく三人で遊んでいたらしい。それで舞龍は賢人の事が好きで、賢人は来夢の事が好きだったという。しかし、来夢はタイプじゃ無いと邪険に扱っていたらしいんだけど……


「ひょっとしたら舞龍は響君の事が好きなのかもね!」


 何故そういう事になる……


「いえ、遠慮しときます」


 ああいう気が強くて傲慢な女は好きになれない。どうせならまだ、来夢の方がまだマシだと思う。


「それで、オレンジのパーカーを着ていた女の人なんですけど」


 ああ、希美さんも話に加わって来た。


「えっと、それは圭子(けいこ)と言って舞龍達が高校の時に知り合ったらしいよ」


「じゃあ、来夢さんも知り合いなんですね」


「ううん、私は知らないよ! 高校は舞龍達とは違う学校だったから」


 そうか、来夢が舞龍達と一緒だったのは中学校までなんだ……


「それで、何故来夢さんは拘束されたんですか?」


 希美さんも僕もそこは気になっるとこだった。


 話を訊いていると、今回の件はどうやら舞龍が仕組んだものではなかったようだが……


 ことの発端は、舞龍達が警備局から逃げる為サーチ機能を使っていた時、偶々二十世紀から戻る来夢のタイムマシンをキャッチしていて、サーチしていた賢人は追跡していたようだ。


 それで、舞龍に内緒で賢人が会いに来て来夢と出会い声を掛けた時、圭子が背後からスタンガンで襲って失神させたという。それに驚いた賢人は来夢をそのままにしておく事も出来ずに連れ去ったということだった。


 圭子は賢人が今だに来夢の事が好きなようなので、なんとかしてあげたいという想いがあったようだが…… いきなりスタンガンは酷いと思う。その後、来夢を抱き抱え、賢人は部屋へ連れて行こうとした時に舞龍に見つかってしまった。


『何故、来夢(こいつ)がここにいるの?』


 そう訊かれて賢人は会いに行った事を話したその時、来夢が目を覚ました。彼女は舞龍にとって相当邪魔者だったと思う。


『それなら来夢(こいつ)もバスティーユ牢獄に置いて行こう。ついでにあいつも牢獄に入れておけ』


 その時、例の話を聞いたようだ。その後、舞龍に意見出来ない賢人は来夢の私物を没収したあと、来夢をバスティーユ牢獄の中に設置したシークレットルームに幽閉した。


「まったく迷惑な話なんだよ! 賢人も早く諦めてくれれば良いのに。こんな事して私が振り向くとでも思っているのかな」


 しかし、賢人もそうだけど、圭子という女も容赦ないな、賢人のためかどうか知らないが、いきなりスタンガンとは……


「でも、スタンガンで失神とかするんですか?」


 希美さんにそう訊かれて確かにと思った。電気ショックを与えて相手の動きを止める武器だと思うけど、失神はどうなのか?


「まあ、普通は無いかも知れないけど、希美さん、私も繊細な乙女だから何の予告も無しに背後からやられたらショックと驚きで失神するんだよ」


 来夢は、ちょっと言い訳じみた事を頬を膨らませながら言っている。まあ、繊細な乙女かどうかは解らないけど、あり得ない話ではないと思う。


「来夢さん、でもタイムマシンの隠し場所を変えた方が良いんじゃないですか?」


 まあ、賢人があの隠し場所を知っているのなら舞龍にも話は行っていると思う。


「別にここでも良いよ! 私がタイムマシンの外に出なければ、中には入って来れないんだから」


 いや、確かにそうかも知れないけど……


「でも、賢人っていう人は暇さえあればここに来るかも知れませんよ」


 ナイスのぞみさん! ストーカーまがいな事を来夢にされてもね……


「うーん、確かに害はなくてもあの顔を毎回見るのもね…… 響君、どっか良いとこある?」


 何処か良いとこあるって言われても、不動産屋じゃ無いんだからそんな急に言われても……


「えっと、あそこは? 響君のアパートの側の何とかの森公園?」


「駄目ですよ! 森とは言っても沢山人が来る公園ですから」


「だから、タイムマシンを公園のオブジェみたいに」


 来夢は楽しそうに笑顔で言うけど、絶対に警察沙汰になるからやめて欲しい。


北山(きたやま)町のスキー場の側は?」


「えっ、スキー場とかあるの?」


「はい、ありますけど」


「ちょっと行ってみたいかな」


 そうか、北山町の山の中なら人目に付かなくて良いかも知れない。来夢もスキー場に興味があるようだし。


「行ってみますか?」


「うん」


 その後、来夢はこの場所を気に入っていたようだけど、取り敢えず北山町のスキー場近くの山の中へ場所を移す事にした。


「でも、前のあの場所は好きだったかな……」


「何故ですか?」


「だって、あの紫色の花が綺麗でさ」


 紫色の花、以前希美さんがその花の葉っぱで足を切った事があったけど…… 来夢はアザミの花が気に入ってたのかな。


「来夢さん、何かカチャカチャ言ってませんか?」


 タイムマシンを普通に移動させる時は少し揺れるみたいだ。


「あっ、コーヒーカップが置きっぱだった! 破れなくて良かったよ……」


 まったく、何やってんだか…… あれ、ちょっと待てよ、そう言えば、バスティーユ牢獄の東側中心部に、様子の違う人が牢の中にいたような…… あの人もカチャカチャ音を出してたよな…… 僕は来夢にその事を話した、すると来夢は急いで叔父さんに連絡をしていた。


 ひょっとしたら、その人が警備部長?


「その人、どんな感じだった?」


 えっと、どんな感じと言われても……


「そうだな、服装は他の囚人と同じような服だったけど、何かカチャ、カチャと音を立てていた」


「カチャ、カチャって…… 響君、それはモールス信号だったかもよ」


「モールス信号! そんなの判らないですよ」


「うん、判ってる…… 別に責めてる訳じゃないから」


 そう言われたけど、何だか引っかかる……


「まあ、今、警備局がバスティーユ牢獄を隈なく探してるから」


 とにかく、警備局が上手い事警備部長さんを救出出来れば良いんだけど……

来夢が拘束されていたバスティーユ牢獄に警備部長が拘束されていたのか…… あのカチャ、カチャという音はモールス信号? まったく判らなかった…… 警備部長も警備局が救出してくれれば良いんだが……

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