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来孫  作者: 赤坂秀一
第二章 闇の組織
18/52

17 幽閉

お待たせしました第17話を更新しました。


舞龍達に拘束された来夢だが、行き先が判った! これから救出に行く訳だが……

 囚われた来夢(らいむ)の足取りを一度は見失ったが、時空管理警備局で、この場所からタイムスリップした機体を調べる事が出来るということで、また来夢をさらった奴等を追う事が出来る。


(ひびき)君、さっきの場所からタイムスリップした機体の行き先が判った」


 叔父さんはそう言った後、ちょっと躊躇したように見えたが……


「この場所からタイムスリップした機体は一機だけだ」


「何処に行ったんですか?」


「1789年6月27日のフランスのルマールの森だ」


 フランスのルマールの森って何があるのか?


 いや! そう言えば確か1789年ってフランス革命があった年だよな、この間の模試に出てたので記憶に残っていた。それっていう事はパリに行ったってことなのか…… 革命と何か関係があるのか……


「ルマールの森って何かあるんでしょうか?」


 希美(のぞみ)さんも不思議そうに思っているようだ。


「叔父さん、フランス革命があった年ですよね」


「ああ、そうだ。民衆がバスティーユ牢獄に弾薬や火薬があると聞いて押しかけるが、守備隊が民衆に発砲した事がきっかけでフランス革命が始まった」


 しかし、そんな所で何をしようというのか……


「多分、来夢はバスティーユ牢獄に幽閉されている可能性が高い」


 そんな所にいたら革命が始まってすぐに巻き込まれる急いで救出しないと……


「叔父さん!」


「慌てるな響君! 時間はあるから。それに革命が起きてもバスティーユ事件は夕方には守備隊が降伏して囚人は全て解放される」


 まあ、確かに世界史の参考書ではそういう事だけど……


「ただし、普通の牢獄にいる場合だが……」


「特別な牢獄があるんですか」


 希美さんも気になるところのようです。そんな僕達を見ながら叔父さんは言った。


「シークレットルームだよ!」


「シークレットルーム?」


 シークレットルームとは大学で来夢が使っていた物で、壁に扉を付けると壁の中に秘密の部屋が出来るものだ。大学で来夢が使っていたのは故障しているという事だったけど……


「シークレットルームに監禁されていれば誰にも気付かれない」


「だから、シークレットルームって何ですか?」


 希美さんは知ってるはずだけど……


「希美さんが大学で来夢さんに初めてあった研究室、あの扉の中がシークレットルームです」


 希美さんは納得したようだった。しかし、本当にそこに幽閉されているなら、囚人が解放された後、探しに行く事は出来る。


「しかし、パリからかなり離れた所なんですね」


「まあ、仕方がない。機体を隠す場所があまりないからな」


 僕達も来夢のタイムマシンを使って1789年のルマールの森へタイムスリップした。


 僕達はまずフランス西部の都市レンヌの上空にタイムアウトした。ここから東の方にパリはあるけど…… ルマールの森は、パリより北西にある森だ。


「奴等の機体を探してみよう」


 叔父さんはサーチ機能を使って探しているが…… なかなかみつからないようだ。


「奴等も上手い事隠したようだな」


 まあ、サーチ機能を使っても判らないという事は、この時代の人にも判らないくらい上手く隠しているのかな。


 しかし、僕等の機体までここには置かない方が良いと思う。ここで争い事になっても何だし、まずは来夢を救出しなければ……


「僕達はパリ北東部のコンピエーニュの森に隠そう」


 叔父さんは再びサーチをして機体を隠せる場所を探している。数分後、小高い丘の下に岩のように擬態するように着陸した。


「よし、それじゃバスティーユ牢獄を調査して来るから」


 叔父さんはそう言ったけど……


「叔父さん、僕も行きます!」


 僕はそう言ったけど、すぐに否定された。理由としては二人より一人の方が行動しやすく見つかるリスクが少ないこと、しかし、もう一つの理由を聞いて僕は納得してしまった。それは……


「君はここでタイムマシンを守ってくれ! それと希美さんも」


 そう言われると何も言えなかった。


 叔父さんが偵察に行っている間、僕と希美さんはドローンを飛ばして街の様子を見ていたが、僕らとはまず着ている服が違うということに気付いた。ということは街には行けないか…… 大人しくするしかなさそうだ。


 その後一時間くらいで叔父さんは戻って来たけど、来夢が何処に幽閉されているかは判らなかったようだ。


 しかも、牢獄では守備隊だけでなく近衛兵が来ていたようだ。事件が起こるかもという事で警備が強化されているようだ。今日はとにかく様子を見て、明日に備える事にした。



 翌日も、バスティーユ牢獄をドローンで偵察したところ守備隊がいるだけで近衛兵はいなくなっていた。まあ、近衛兵は通常、要人の護衛が任務なはずだしな。


「響君、二手に別れて来夢を探しに行く」


「はい、でも連絡は……」


「あっ、そうだった」


 来夢が言っていた時空ネットワークサービスは、僕が持っている現代のスマホでもWi-Fiを使って時空ネットワークサービスの電波を使用出来るらしい。


「このパスワードを入力して」


 叔父さんから教えてもらったパスワードを入力したら1789年のこの世界でも僕のスマホにアンテナがたった。


「凄い! 私も」


 勿論、タイムマシンに残る希美さんにもパスワードを入力してもらい連絡がつくようにした。


「響君、それじゃ捜索に行くから何かあったら連絡を!」


「はい」


「希美さんも指示通りに頼むよ!」


 そういう事で、来夢の捜索が始まった。僕はファスナーでバスティーユ牢獄内部に潜入して牢獄内に変な扉がないかを調べた。


 意外と静かな物だな、まあ革命が起こるまで十日以上はあるけど……


『カチャ、カチャ』


 うん…… ここには一般市民が幽閉されているのか…… いや、しかし、あの人だけは何となく違うような感じがする。カチャ、カチャと音を出しているようだけど何者なんだろうか……


『ピピピッ、ピピピッ』


 あっ、叔父さんからだ!


「はい」


『そっちの方はどうだ!』


「今、東側の牢獄にいますが、こっちの方はかなり静かです」


『判った! 引き続き捜索を頼む』


 捜索と言ってもかなり広い。来夢は何処にいるのか……


 僕は、とにかく東側牢獄の調査を続けるが、ここで東側の牢獄は終わりのようだ。


 僕が引き返そうとした時、その先に今までの扉と違う物があった。一見同じようだが違和感がある。何だろう…… そう思っている時、鍵穴が無い事に気付いた。確か来夢が使っていた研究室の扉も鍵穴が無かったよな……


『コンコン』


 僕はノックをしてみた。


「何、朝食なら食べたわよ」


 中からは聞き覚えのある嫌味な声が……


「来夢さん?」


「えっ、響君なの?」


「はい、助けに来ました」


「あっ、でもやばいわよ。もうすぐ朝の見回りが来るから」


 えっ、本気(まじ)か! 僕はどうしようかとウロウロしたが、来夢に訊いてみた。


「えっと、中に入っても良いですか」


「ファスナーを持ってるの?」


「はい」


「ねえ、叔父さんも来てるの?」


「はい」


 僕はそう返事をした後、慌ててファスナーを取り付け牢獄の中へ入り、隅の方に隠れた。その直後見回りが来たようだ。危なかった……


『ガラガラ』


 牢獄の小さい鉄格子がついた窓が開いた。そこには嫌味な女、舞龍(まろん)がいた。


「来夢、変なことしてないだろうね!」


「変なこと出来ないように道具は全部没収されたと思うけど」


「あーっ、もう気に食わない! あんたどこまで強気なの? 強気な女は嫌われるよ!」


「まあ、お互い様だね」


 来夢がそう言うと舞龍は機嫌悪そうに扉を『ドン』と蹴った。


「本当、気に食わない女だ! あんたは自分の置かれている立場を判っているの」


「うん、そのつもりだけど」


「ふん! 強がるのも今のうちだから」


 そう言うと舞龍は立ち去って行った。


 人が居ないのを確認した僕は叔父さんに来夢発見の連絡をした。


「来夢さん、脱出しましょう!」


 僕はそう言って来夢の白いスマホを手渡した。


「これ、何処にあったの?」


「タイムマシンの側に落ちてました」


「うん、良かった…… ありがとう」


 来夢はそう言うと、ニヤッと笑って何か操作をした。


 僕は扉の方にファスナーをセットすると……


「響君、そっちじゃないよ! こっち」


 来夢は、廊下の反対側を指差した。


「いや、そっちは地上三階くらいの高さで外堀になってるはずだけど……」


「良いから早く!」


 いつもの事だけど、この人は何を考えているか判らない……


 僕は、言われた通りファスナーを取り付け壁を開くと外には来夢のタイムマシンがあった! 何故ここに……


「響君、早く!」


 僕と来夢はオレンジ色の光に包まれ宙に浮いた。あっ、ファスナーを忘れずに回収!


 僕と来夢はそのままタイムマシンに乗り込みバスティーユ牢獄をはなれた。取り敢えず脱出成功というところだ!


「響君、ありがとう! 舞龍の悔しそうな顔が目に浮かぶよ」


 確かに、あの高飛車の女は凄く悔しがるだろう。何たって自分で見回りに来た後、逃げられている訳からだ。


「来夢、大丈夫か!」


 足元が覚束ない来夢を見て叔父さんが訊いている。叔父さんは僕からの連絡があった後、すぐに脱出していたようだ。


「うん、ちょっと気分が悪いからメディカルボックスにいるよ。叔父さんの機体じゃなくて良かった」


 それを聞いた叔父さんは苦笑していた。どういう事だったんだろう…… しかし、無事来夢が戻って来たので良かった。


何とか来夢を救出出来た! バスティーユ牢獄の守備隊と舞龍達は連携していた訳ではなかったようだ。

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