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来孫  作者: 赤坂秀一
第二章 闇の組織
13/52

12 希美の異変

お待たせしました第12話を更新しました。


警備局の情報漏洩の件は二人の局員が関与していた事が判った。しかし、組織の事は不明のままだった。

 警備局の情報漏洩事件は神谷(かみや)警備部長の仕業ということで、本人不在のまま懲戒免職となり、指名手配犯として追われる事になった。山田(やまだ)捜査官も、懲戒免職処分となった。まあ、警備部長の指示とは言え、情報の漏洩や削除に加担した訳だから。それに他の上司や局長とかにでも相談出来なかったのか…… 可哀想だけど、仕方がないかな……


来夢(らいむ)さんはこれからどうするんですか?」


 僕は謎の組織に利用されている来夢の事がちょっと心配になった。


「どうするも何も、ここの時代の調査をするよ! その為に来てるんだから」


「でも、謎の組織の邪魔が入るかも……」


 希美(のぞみ)さんも心配のようです。


「でも、この時代の調査をするのが私の仕事だから、それにその時はその時だよ! 考えたって仕方がないから」


「結構前向きなんですね!」


「まあね、考えるよりも先に行動する事が好きだから」


 こういうのがポジティブとか言うのかな、でも、大丈夫かな……


倉橋(くらはし)、私はそろそろ戻るから、じゃあね!」


「あっ、はい……」


 希美さんなんだか顔が赤いけど、来夢が部屋に入るなりあんな事を言ったから気にしてるのかな……


 希美さんはファスナーを使って壁を開け、自分の部屋へ戻って行った。僕は手を振ろうとしたけど、希美さんに気付いてもらえなかった…… この半分上げ掛けた手をどうしょう。


「なにやってるの?」


「えっ、いや、別に……」


 僕は半分挙げかけた手を徐々におろした。来夢、そこはほっといてくれ……


 その後、来夢も調べたい事があるとかでタイムマシンへ戻って行った。


 僕は希美さんの赤い顔が気になっていた。ひょっとして気分が悪かったとか…… 僕はスマホを手に取り、希美さんの部屋へ行く許可を取ろうと思ったけど、何でも無かったら…… そう思うと、なかなか行動を起こせない。

 いや、でもやっぱり気になるので、意を込めて部屋へ行っても良いかどうかのメールを送ってみた。しかし、すぐに連絡は無いようなので、暇潰しに参考書を眺めて待つ事にした。僕はコーヒーを淹れようと立ち上がりキッチンへ行き思った。希美さんから返事が来ないと言う事は、やっぱり迷惑だったかなとよからぬ事を考えてしまう。


『チーン』


 あっ、返信が来た! そう思って確認すると……


『ごめん、今日はちょっと無理!』


 そう返事が来たので、仕方なく僕も寝む事にした。まあ、そうだよね…… 一人暮らしの女性の部屋なんだから…… しかし、僕がベッドに横になって、それから数分後。


『チーン』


 またメールが来たけど、誰からだ…… あれ、希美さんからだった。


『倉橋ごめん、風邪薬ある? あったら持って来て』


 やっぱり、顔が赤かったのは熱があってたんだ。僕は風邪薬を持って、希美さんの部屋の壁を開いた!


「希美さん大丈夫ですか?」


 するとベッドには、パジャマを着た希美さんが横たわっていた。


「倉橋、薬…… ある?」


 ちょっと弱々しい声で訊かれた。


「はい、持って来ましたけど、希美さん熱があるんじゃないですか?」


「うん…… 測ってないから、判らない」


「体温計は?」


「私の、机の、引き出しの、一番上……」


 僕が引き出しを開けたら体温計はあったけど…… これって、脇で測るタイプだよね…… まさか、僕が希美さんのパジャマの中に手を入れて測るんじゃないよね……


「倉橋…… あった?」


「はい、これですよね、測れますか?」


 僕は希美さんに体温計をそっと差し出したけど……


「ねえ倉橋、測ってもらっても、良い……」


 いや、何言ってんだこの人は…… そんなの駄目に決まってるでしょう! 大体、希美さんのパジャマの中に手を入れて、もし胸にでも触ったら…… うーん、どうしようかな……


「あっ、希美さんちょっと待っててください」


「えっ、何処行くの?」


 希美さんにそう訊かれたけど、僕は一旦自分の部屋へ戻りました。


 確か、耳で体温を測るミミッピ君があったはず……


「えっと、あった!」


 僕はミミッピ君をもって再び希美さんの部屋へ戻りました。


「今、熱を測ります」


 希美さんは僕の事を見れずに目を瞑り横を向いてます。丁度良かった、これで体温を測れる…… 僕が彼女の耳元で『ピッ』と音をたてて熱を測ると、三十九度五分の熱が……


「どうだった……」


 彼女は弱々しい声で僕に訊いた。


「三十九度五分あります。病院へ行きましょう」


「うん…… でも、動けるかな……」


 はあ…… どうしようかな…… あっ!


「希美さん、ちょっと待ってください僕の知っている先生に電話しますから」


 そう言って僕はスマホを取り出し電話しました。


『はい、上杉(うえすぎ)です。急患ですか?』


美彩(みさ)先生、倉橋です」


『あら(ひびき)君、久しぶりね、具合でも悪いの?』


 美彩先生って、やっぱり天然……


「あっ、僕じゃないんですけど、友達が三十九度五分の熱があって……」


『判った! そっちに行くから場所を教えて』


 良かった! この先生は僕が小さい頃からお世話になった先生だ。


「えっと、西条の森公園西側の通りにある綺麗なアパートなんですけど」


 この通りには綺麗なアパートと古いアパートの二つがある。


『判ったわ! 近くまで行ったら電話するから』


 取り敢えず北条クリニックの美彩先生が来てくれるなら安心だ。


「希美さん、今先生を呼びましたから」


「うーん……」


 やっぱり、具合が悪過ぎて辛そうだ。でも、僕には見守る事しか出来ない……


 その後、十五分くらい経過した時、再び僕のスマホが鳴った。

 あっ、美彩先生!


「もしもし」


『響君、西条の森公園の西側の通りにいるけど、通りまで来てもらっても良い?』


「あっ、はい! すぐに行きます」


 希美さんを一人残して行くのは心苦しいけど、美彩先生を迎えに行かないと…… 僕は部屋から持って来た靴を履いて通りへ向かった。


 赤い軽自動車! 多分あれだ。


「美彩先生」


「響君、横に乗って案内して」


 そして、先生を希美さんの部屋へ連れて来た。


「ちょっと、彼女さんなの?」


 美彩先生は、僕の友達が女の子だったので、ちょっと戸惑っている?


「あっ、いえ、友達です……」


 先生は希美さんを見て何か誤解をしたようだ。


「友達って言うから男の子だと思っていたけど…… まあ、良いわ」


 先生は、そう言って希美さんの治療を始めた。


「ちょっと響君、パジャマのボタンがひとつ外れているけど…… あなた、変な事をしたんじゃないでしょうね」


「違いますよ! 熱を測る時に彼女が自分で外したんです。結局無理だったから、その…… 僕はミミッピ君を使ったんですけど」


 美彩先生は僕の事を冷めたい目で見てるけど……


「判ったわ、それじゃ響君、診察を始めるから向こうを向いてて!」


「あっ、はい」


 先生は聴診器を首に掛け、振り向きざまに僕に言った。まあ、パジャマを全部脱がせる訳じゃないけどはだけるくらいはあるだろうから……


「判りますか? うーん、胃腸が弱ってるかな…… 喉に炎症は無いけど、鼻水は出てるようね」


「先生、どうですか?」


 僕は後ろ向きのまま先生に訊いた。


「うーん、お熱が高いから本当は点滴とかが良いんけど注射しか出来ないから……」


 そう言って先生は希美さんに注射をした。


「響君、明日には少し楽になると思うからクリニックに連れて来て! あっ、でもあなたは学校か……」


「いえ、明日は土曜なので休みです」


「そうか、それじゃお願いね! うちのクリニックも明日は半ドンだから」


「半ドンですか? なんですか、それ……」


「響君知らないの? 土曜日は午前中仕事で午後から休みだから半ドンなのよ」


「はあ、半ドンって言うんですか……」


「はあ、響君は知らないのね、これってゼネレーションギャップなのかしら……」


 美彩先生は、そう言ってアパートを淋しそうに出て行きました。


 その後も僕は、心配だったので朝まで希美さんの部屋にいましたけど…… 容態が安定しているようだし、もう明るくなって来たので一度僕の部屋へ戻り仮眠をする事にした。




 部屋が明るくなり、私は目を覚ましました。はあ…… やっぱり身体が怠い! まだ熱があるのかな…… 私は熱を測りましたけど、三十七度七分…… まだ、熱がある。昨晩、倉橋に来てもらったのは覚えているけど、あいつ一晩中いてくれたみたいだった…… 偶に目が覚めたときに倉橋らしき男性が壁に寄り掛かって座っていたみたいだった…… ちゃんとお礼をしなきゃいけないよね……


『チン』


 あっ、メール? 倉橋からだ……


『お粥を作ったので、そっちに来ても良いですか』


 もう、いちいちメールしなくても良いのに……


『いいよ、ありがとう』


 私はそうメールを返信しました。

希美は色々と慣れない事が続いたので疲れていたのかな…… しかし、ある程度熱も下がったのでひと安心です。

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