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来孫  作者: 赤坂秀一
第二章 闇の組織
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9 現代に戻って……

お待たせしました第9話を更新しました。


未来で犯罪者に間違えられた響達だったが、無事に現代に戻って来る事が出来た。ここから第二章が始まります。

僕達が現代へ戻って来たのは夜の十時過ぎだった。


「もう少し早い時間に戻っても良かったんじゃ……」


 僕の言った言葉を聞いて来夢(らいむ)は気不味いようにこっちを見ている。


「うん、でも折角叔父さんが食事しようって、結構気を遣ってたんだよ、それにタイムマシンをまた隠さなきゃいけないしね」


「いや、食事は良いとして、タイムマシンのこともあるからもう少し早くですね……」


「だって、早い時間だとタイムマシンの目撃者が増えそうだから」


「今更ですか……」


「でも、時間は調整出来たんですよね」


 希美(のぞみ)さんにそう言われハアッ、とした僕でしたが、来夢は知らん振りしていた。


「これ以上目撃者が増えて、山を捜索されても困るから」


「こんな鬱蒼とした山に誰が登って来るんですか?」


 しかも、タイムマシンは到着してニ分程度で器用に木々の下に潜りこませて隠してあるのに……


「それじゃ、帰ろう」


「あっ、誤魔化した!」


「倉橋、帰ろう」


 そう希美さんが言うので、仕方なく三人で僕の部屋へ戻って来た。


「希美さん、送りますよ」


「あっ、うん…… ありがとう」


 今回の事もあって希美さんとは少し良い感じになれたかな……


「あっ、希美さんの部屋にもすぐに行けるようにしようよ!」


 えっ、それは……


「あっ、はい! それだと遅くなっても大丈夫ですね」


「えっ、あっ、そうですね……」


 折角、希美さんと二人になれると思ったのに、何故邪魔するかな……


「希美さんにもこれ渡しとくね」


 来夢はファスナーのつまみを希美さんに渡した。これで希美さんの部屋にいつでも行ける事にはなったけど…… 僕の方から勝手に行くのはまずいよな……


「これで倉橋(くらはし)の部屋にはいつでも来れるね!」


「あっ、はい……」


「倉橋もいつでも来てね!」


 希美さんは頬を赤くしながら恥ずかしそうに言った。でも、僕が彼女の部屋へ行ったときに露わな姿でいたら…… そう考えると僕の顔も赤くなっているような……


「えっ、あっ、はい…… その時はメールをして行きます」


 希美さんは僕の部屋の壁にファスナーのつまみを押し当てて下に下げ入口を作ったあと……


「じゃあね、倉橋!」


「はい、それじゃ……」


 そう言って帰っていった。でもファスナーって凄いよな、あんなにベロンベロンに壁が柔らかくなっているのにファスナーを閉めたら、また硬い壁に戻っちゃうんだよね……


「はあ、私も疲れたからタイムマシンへ戻ろう。じゃあね、(ひびき)君!」


「はい」


 僕は部屋に一人になった。いや、今までもそうだったんだけど…… 偶には受験勉強でもするか!




 月曜日、僕が学校へ行くと……


「おはよう! オープンキャンパスの後はあれからどうしたの?」


 まさか、神谷(かみや)さんから追及されるとは……


「おはよう……」


「ねえ、料理を教えてもらったんだよね」


 いや、タイムマシンで未来に行った。とか言えないよな……


「うん、そうだよ」


「何を教えてもらったの?」


 えっ、そこまで考えてなかった! えっと……


「えっと、か、カレーだよ」


 僕は嘘が下手だ!


「カレー?」


「うん」


「カレーくらい普通に作れるでしょう」


 いや、普通に作れるレベルじゃ…… 僕が作れるのはラーメン、うどん、パスタくらいで、ご飯は炊くけど、おかずは惣菜が多い。


「そんなレベルが高いものは作れない」


「教えてもらったんでしょう」


「あ、ああ」


「響、おまえさ、本当は希美さんを料理したんじゃねえよな!」


 龍己(たつみ)までがそんな過激で恥ずかしい事をそばに来て言った。


「馬鹿言うな!」


「本当!」


 神谷さんまで……


「本当です」


 それは間違いない!


 あれからタイムマシンで未来まで行って、大変だったとか言っても判ってはもらえない。それどころか頭が変になったなんて思われる…… でも、疲れた……


「解ったわ、倉橋君……」


 神谷さんは一言そう言うと自分の机に行ってしまった。いや、本当に解ってくれたのかな……




 私、冬野希美(ふゆののぞみ)は今日はちょっと怠いです。土曜日、あんな体験をするとは……


「おはよう希美!」


「おはよう、(とも)ちゃん」


「ねえ、今週末合コンするんだけど一緒に行かない」


「私はパス! 土曜日はバイト」


「えーっ、 結構イケメン揃いなのに……」


「だってバイトだから」


「あっ、そうか希美には高校生の彼がいるから、仕方ないか! ごめんごめん」


 いや、付き合って無いし……


「ち、違うから……」


「なに希美、もう彼氏が出来たの!」


 そう言うのは私と智ちゃんの共通の友達の山田未玖(やまだみく)です。


「彼氏じゃないよ、バイトで一緒なだけ」


「未玖、高校生のイケメン君なんだよ!」


「智ちゃん、だから違うってば!」


「歳下か…… 私は無理かな」


「えっ、未玖は歳下はダメなの?」


「だって、ひとつくらいしか変わらなくても歳下って結構甘えてくるし、大人の女性を求められてるようで…… しかも高校生に振られでもしたら本当落ち込むよ……」


 未玖ってそういう経験あるのかな…… でも、そう言われるとそうかも知れない。でも私は、付き合ってはいない……


「まあ、希美は大丈夫だよ!」


「智ちゃん、なんでよ」


「希美だったら歳下の男の子にでも甘えることが出来るかもだし」


「あ、それは言えてる」


 未玖にまでそう言われてしまったけど、私ってどういう風に見られてるの…… でも、未来で警備局に拘束された時は、倉橋が私の事を気遣ってくれたから少しは安心出来た。それは間違いない。


「はあ…… 私って……」


「何、どうかしたの? 溜息なんて吐いちゃって」


「本当はイケメン君に振られたとか?」


「だから付き合ってないってば!」


 この二人は私のこと、絶対に面白がってる……


「もう、他人事だと思って……」


「だって他人事だもんね!」


 まったくもう……


「それで、未玖はどうなのよ!」


「私の彼は優しいから」


 もう、惚気かよ。


「智ちゃんは……」


 未玖がそう訊くけど……


「だから、智は彼がいないから週末に合コンに行くのよ!」


「あっ、いないんだ…… 希美は行かないの?」


「私は、バイトの日だから」


「でも、希美もちゃんと彼を見つけた方が良いよ」


「はい、はい」


 まだ大学生だし、そんなに急がなくても、でも、淋しい気もするけど……


「あれ、なんだかちょっと騒がしくない?」


 周りがガヤガヤしているのを智ちゃんが、察知した。何だかスマホを見て騒いでいる?


「うん、どうしたのかな」


 未玖までもそう言ってるけど……


『チン!』


 あっ、メール? 誰だろう…… 私がスマホを取り出すと……


「来夢さん?」


 思わず声を出してしまったけど、智ちゃんも未玖も私の事には気づかなかった。


 来夢さん、どうして私のスマホの番号を知ってるんだろう。私はメールの内容を確認すると……


『城南市にあるジュエリーショップ3℃(サンドシー)で強盗事件!!!』と書いてあるけど…… どういう事?


「希美、どうかしたの?」


「うん、これ……」


 二人は、私のスマホを見て一緒に驚いています。


「これ、どういう事! それって本当なの?」


 それは、私が知りたいけど…… 倉橋は何か知ってるかな…… 本当に来夢さんからなら知ってるはずだよね。


 その時、また私のスマホがなりました。


「もしもし……」


『希美さん、来夢さんからのメール来てますか?』


「うん、どういう事なの?」


『よく判らないけど、僕達が未来で間違われた組織の仕業じゃないかと……』


「それ、本当なの?」


『多分、来夢さんがメールしてくるってことは……』


 でも、それが本当なら捕まらないだろうし、痕跡だって……


「来夢さんは、何処に?」


 私は来夢さんの事がちょっと心配になりました。


『判らない! でも、現場にいるんじゃないかな……』


「それじゃ、私も行ってみます。大学の側だから」


『それじゃ、僕も』


「でも、学校は大丈夫?」


『はい、昼休みですから』


「それじゃ、3℃道向かいにあるコンビニにいるから」


「はい」


 まあ、私達が行ったところでどうにもならないけど……




 僕がコンビニに着いた時、現場は警察とメールを見た野次馬どもで騒然としていた。そこに来夢もいた。


「来夢さん!」


「響君、何故ここに来たの?」


「あんなメールをもらったら来ますよ」


「えっ、何のこと? まあ良いけど警察に紛れて未来の警備局員が来てるはずだから注意してね」


 警備局員が来てるのか…… また見つかると厄介な事になるかな。


「倉橋!」


「えっ、希美さんも来たの!」


 希美さんは来夢を見つけると口を尖らせ言った!


「来夢さん、何故私のスマホの番号を知ってるんですか?」


 来夢は不思議そうな顔で希美さんを見てさらりと返事した。


「知らないけど……」


「えっ、だって……」


 希美さんは納得出来なかったのかスマホのメールを来夢に見せた。


「なにこれ!」


「来夢さんが送ったんでしょ!」


「いや、知らないんだけど……」


 それじゃ僕のメールも来夢の仕業じゃないのか。


「来夢さん、僕にもこれが」


「えっ、なにこれ! 私は送ってないよ」


 これってどういうことだ!


「これを見て二人ともここに来たの?」


「はい」


 僕も希美さんもほぼ同時に頷いた。


「どうやら誰かが、私達を呼んだみたいね」


 いや、それは無いんじゃ…… 来夢は、犯人に知られているかも知れないけど、僕や希美さんの事は知らないんじゃ……


「来夢!」


 あっ、この人は……


「叔父さん! どうしてここに?」


「ここで事件があるのが判ったから来たんだけど、もう手遅れだった」


「それで」


「この時代の警察が調べているから、その後で調査しようと思ってる」


「一緒には出来ないんですか?」


 希美さんも無茶な事を……


「いや、それは無理だ! 未来の警備局とか言っても相手にされないだろうから」


「でも、警察が調べた物を未来で閲覧するんでしょ」


 いつもの口調で来夢が言うけど……


「いや、それが何者かにこの事件の情報を削除されていて、それでこの時代に調査に来たんだ」


 なかなか、相手も慎重に動いているようだ。


「それより君達は事件に関わらないように」


「でも、僕達にこういうメールが来て…… 最初は来夢さんからだと思ったんです」


「これは……」


 僕達は、すでに巻き込まれてしまったのかも知れない。

来夢からのメールで3°Cに合流した響達だったが、実は来夢が発信したメールでは無かった!

犯人は何故、響や希美のスマホの番号を知っていたのか……

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