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戦闘メイド

 エルフ達を運ぶ悪勇者達に追いついた。


 姫から奪い返したであろう剣も腰に刺している。あれが今回の本命だからな、忘れないようにしないと。



「おい!エルフ達とその剣は返してもらうぞ!」


「あぁー?………!?」



 こちらを振り向き驚いた顔で口を開く。



「西の勇者に姫!?それにメイドまで!!なんで生きてやがる!」



 そりゃあ腹を貫かれたら普通は死んでると思うよな。



「ガンジのおっさんがそこのお姫様を可愛がってたはずなんだけど?」



 女がしかめっ面で問いかけてくる。



「悪いな、姫に手を出そうとした奴は殺すことに決めたんだ」



「ちっ、あのおっさん使えねぇなぁ」



 仲間、というより使い捨てのコマみたいな扱いだな。



「しかし、腹に穴あけられて生きてるなんてどんな化け物だ?」



 まるで幽霊でも見てるみたいな表情だ。俺とシャゼルの貫かれたら腹部に目をやり確認している。



 2人とも傷口が埋まっているから不思議で仕方ないか?



「なんだぁその角!?」



 視線が俺の角へと向かいまたしても声を荒げる悪勇者。



「これは魔王たる証だ、といっても、まだ一本しかないし半分しか生えてないが」


「魔王?頭おかしくなったんじゃねぇかお前!?」



 うん、いきなり言われても意味がわからないよな。最初は姫も信じてくれなかったし。




「角なんか生えたからなに?どうやって復活したかわかんないけど、もっかい倒せばいいだけだし、ねぇ!勇者様ぁー?」



「あ、あぁ。そうだな。エルフも、剣も渡さねえぞ!西の勇者!!」



 キアラとかいう女が臨戦態勢をとり、それに悪勇者も続く。こいつら態度は横柄だが確かな実力者であり厄介だ。



 角が戻ったとはいえ半角。油断せず行くぞ。



「じゃあ2回戦と行こうか、シャゼル!」


「はっ!」



 一斉に攻撃を仕掛ける。



「キアラァ!うぜえから飛べ!確実に殺してから戻ってこい!」


「はあーい」



 シャゼルが女に攻撃を仕掛けた瞬間、転移で2人とも消えた。自分以外も転移できるなんて、本当に何者なんだ?あの女。


 しかし、これで邪魔者は入らない。


 魔王対勇者、その従者対魔王の配下ってことか。













「あんたさぁ!ほんとうざいんですけど!なんで殺したのに生き返ってるの?」


 悪態をつきながらも余裕な女。


「私は吸血鬼なの、さっき魔王様から血を分けてもらったから。この通りよ」



 この女に空けられたお腹の穴もしっかり塞がっている。


 生命の危険を感じたのはいつ以来だろうか、半角とはいえ魔王様の角がもどらなれけば危なかった。



「魔王様?まだ言ってんの?それ面白くないんだけど。まあいいや、次は復活できないくらいバラバラにしてあげる!きゃはは!!」



「どうぞ、やれるものなら…ね」



 さて、先ほどは不甲斐ない結果となりました。挽回のチャンスなのでしっかりと対処しましょう。



 三代目魔王様に仕えてから1番の失態、この女にしっかり勝つことで魔王様もお許し下さることでしょう。



「きゃはは!」


「はっ!」


「ぎゃんっ!!」



 転移とともに後ろから蹴りを入れてくる女の足を掴み上げカウンターに回し蹴りを入れる。



 吹き飛ばされて、膝をつく女。



「………何があったの、さっきまでと全然違うじゃん!!」



 焦りが表情から見て取れる。



「えぇ、ごめんなさいね。先ほどは本来の力の一割も発揮できない状態だったの」


「う、うそ!!うそうそ!はあああああ!」



 またしても転移で私の死角から拳を繰り出してくる。それをかわしながら勢いそのまま膝を顔に叩き込む。



「ぎゃふっ!」


「あら、鼻血。…痛かったかしら。ごめんなさいね」



「うぅ、なんなの!…その無表情やめろよ!!!」



 ズビッと鼻血が出ている方の血を吹き出し、すぐに臨戦体制を取ってくる。 


 齢はまだ20年そこらでしょうか、本当によく鍛えている。弱体化していたとはいえ私が遅れを取ったのです。ここまで戦える人間は少ないでしょう。


 失敗したのは私にトドメを刺さなかったこと、吸血鬼である私は主人の血と頭さえ無事なら再生する。



「きえええぇぇい!!!」



 拳の連打を繰り出してくる。戦士としては一流ね、無駄のない攻撃を流れるように行っている。



「はぁっ!!」



 スピードが落ち始めたので隙をつき掌底をいれ浮いた身体に渾身の蹴りをお見舞いする。



「いだあああああ!!!」


「あら、ごめんなさい。折れてしまったわね」



 悲痛の叫びをあげている。彼女の腕があらぬ方向を向いているからだろう。



「な、なんなのホント!これがあんたのホントの実力ってわけ!?」



 なんとか立ち上がってくるが片腕が折れて威勢も先ほどより弱々しい。



「いえ、今で先ほどの倍程度かしら。つまり、20%程度?」




 私の弱体化は魔王様とリンクしている。魔王様の角が双角となる時私の力も解放されるのでしょうね。




「そんなの!化け物じゃない!!」



 信じてないのかしら、嘘をつく必要はないのだけれど。



「今更?あぁ、そういえば名乗ってなかったわね、最後に教えてあげるわ。」



 これが本当のメイドの土産かしら?


 ふふ、っと笑みを溢しながら久々になる口上を述べる。




「魔王様が配下にして戦闘メイド筆頭、シャゼル・ヴァンパイアよ。覚えておきなさい人間」



「ひぃっ!」



 覚えておくも何も殺すんでしたっけ?魔王様に確認しないと。



「いやぁあああ!」



 シュンッと音を立てて消える女。



「あら、逃してしまいました。魔王様に怒られるかしら」


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