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4分の1の魔王降臨

「はあはあ!」


 私はリドウに言われた通り、全力で走っている。


「きゃあ!」


 足がもつれてこけてしまう。急いで隠れる場所を探さないと、リドウを信じていないわけではないですが東の勇者とその仲間はとても強そうに見えた。


 大蛇の時みたいに足手纏いは嫌です。


 シャゼル様はお腹を貫かれて…。リドウも…なんて嫌な想像が後をたたない。



「…うぅ」



 シャゼル様の安否が気になり、思わず涙が出てくる。どうか二人ともご無事で。



「おーい!!」



 誰かを呼ぶ声がうっすら聞こえる。


「リドウ…?」


「姫様はどこかなぁあああ!?」



 瞬間、身体が強張り木陰に身を隠す。東の勇者だ。


 うそ、リドウがやられるわけ…。



「西の勇者はうちのキアラが腹貫いて殺しちゃったよおお!?あきらめて出てこおおい!!」


「きゃは!早く出てこーい!」



「…っ!」


 うそだ。だって…絶対倒すって…信じろって言ってくれた。


 嗚咽を漏らさないよう口に手をあてる。きっと嘘だ。そう思っても涙が止まらない。


 リドウ、早く来て…!



「みぃーっけえ!きひぃっ!」


「いやああ!!」



 東の勇者が木の裏から顔を出す。驚いた私は握りしめていた、東の勇者の剣を振り回す。衝撃波が振り回すたび、剣から出ている。



「うお!あぶね!」


「こないで!!」



 リドウ!リドウ!…涙で視界がにじむ。



「きゃはは!これは返してもらうよー!」


「きゃあ!」



 後ろからいきなり勇者の仲間の女の人が私が振り回してる剣を取り上げる。そんな、いつの間に後ろに!?



「さあて、ガンジよ、どうしたいぃ?」



 東の勇者の後ろから、先ほど剣の衝撃波で倒したはずの男がニタニタと下卑た笑みを浮かべ現れる。



「さっきの続きをしてもいいですか?スメラギ様!ぐへへ」


「全く、ガンジも好きだなぁおい。いいぜ、俺とキアラはエルフを回収してくるからその間に楽しんでな」


「へい!」



 東の勇者と女の人がその場から急に消える。転移魔法?そんな高度な魔法を使えるなんて。



「さっきはよくも吹き飛ばしてくれたでやんすねぇ、はあはあ」



 目の前の男が指先をくねくね動かし、息を荒く近寄ってくる。



「リドウ…」


「ぐへえぇはあはあ!そいつは死んでるでやんす!腹をぐちゃぐっちゃにされてる倒れてるのを見ましたからねえ」


 嫌だ。こんな男に慰み者にされるならいっそ…。でもリドウは信じろって…。


「ぐへへへ、あんたすんげえキレイでやんすねぇ」


「いやあああ!!」


「ぐへ?」


 男が手を伸ばして来ると同時に私を包み込む青みがかった光の球体。これは?


「なんでやんすかこれは!触れない!この!この!」


「…ひっ!」


 男を拒むのは球体の結界…?男は必死の形相で光の壁に攻撃する。男の必死さに思わず悲鳴を上げてしまう。



「諦めて出てくるでやんす!ほら!ヒビ割れてきたでやんすよぉ!」


「いや!やめて!!リドウ!リドウ!」


「だから!そいつはぁ!死んだでやんすー!」



 男はリドウが死んでいると告げる。いいえ、私が生きているのだから…!リドウは死んでいない!!


 男が振りかぶりついにガラスのように結界が砕け散る。



「リドー!!!!!!!」



 お願い!助けて!




 衝撃とともにドガッと音がする。目を開くと、首から上がない男の身体が視界入る。




「すまない、遅れた」












 少し前。


 …姫の声が聞こえる。



 行かなければ…。




「うああああああああああああああ!!!!」



 頭が焼けるように痛む。




「はあはあ…」



 俺は…確か腹を貫かれて…。


 傷は塞がっている。なぜだ?死んでもおかしくなかったはず。




 体には信じられないほど力が漲っている。これは一体…。



「…!」



 そうだ、姫が危ない。早く向かわないと。


 シャゼルが倒れているのが目に入る。吸血させてやる時間はない、これで我慢してくれ。

 

 掌に傷をつけシャゼルの口元に血をだくだくと流す。



 これでよし。うん、今行くぞ。






「リドー!!!!!!!」


 姫の俺を呼ぶ声が聞こえる。


 いた!間に合ったぞ!!!


 姫に触れようとしているガンジの顔めがけ拳を振りぬく。頭が吹き飛ぶ。


 そんなに力は入れてないつもりなんだが…。それほどパワーが戻っているのか?



「すまない、遅れた」


「リドウ!!よかったです!…ううー!」


 

 俺の胸で泣きじゃくる姫、間に合ってよかった…。今日は何度も姫を危ない目にあわせている。


 腕輪の魔道具で離れられないとはいえ何か自衛できる術を考えなければ。



「うっ、ぐす…」


「ほら、姫、もう泣くな」


「は、はいぃ」


 

 ようやく胸元から離れ泣き顔を披露する姫。うん、不謹慎だけど可愛い。




「リドウ、あなた、角が…」


「…ん?」



 そう言われて角手をやると片方の半分だけ角が生えていた。



「これだったか…」



 どうやら魔王たる証の角に今回は助けられたらしい。角の能力を死にかけで解放したんだろう。


 体感ではあるが漲る魔力と力は、、やられる前より倍以上に感じる。


 

「姫、逃がすためとは言え怒鳴って悪かった」



 今回もかなり危なかった。俺が死んだら姫も死ぬんだ。


 姫を殺したくないのなら早く力を取り戻さないといけない。



「ううん、リドウを信じていました…」



 涙で潤んだ瞳でまっすぐ見つめてくる。もう好きかもしれない…。



「うん、次は負けない」


「…はい」


 少し照れながら、しっかりと姫を見つめ口にする。この流れでキスでもしたいところだが負けっぱなしではできない!




「よし、シャゼルの元へいこう!」


「はい!」









「シャゼル様!よかった…!」


「レイム…姫、私は…」


「たっぷり口の中に血を流してやったからな。どうだ?動けそうか?」


「はっ、不甲斐ない姿を見せてしまい申し訳ございません」


 

 姫の膝枕から起き上がりこちらに頭を下げる。



「いや、俺も同じように腹貫かれたしな。この角のおかげ復活できたんだ」


「通りで、半角といえど魔王様のオーラが復活しているのですね」



 俺の力が戻ると相似て配下の力も戻るみたいだな。シャゼルも力が溢れているのを感じる。


「よし、リベンジだ」


「はい!」


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