表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TAKAMURA ~異聞、小野篁伝~  作者: 大隅スミヲ
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/187

鬼姫と篁(3)

 ふたりは闇の中で対峙していた。

 太刀を抜いたふたりの距離は広く、お互いが一歩踏み込まなければ斬りつけることはできない。

 雨が降っている。強い雨だ。

 お互いに見合ったまま、動かない。


 雨が地を打ち付ける音が聞こえる。

 遠くの空で雷の音が聞こえる。

 いま聞こえるのは、自分の呼吸をする音だ。


 いかずちが走った。

 その一瞬の光だけで十分だった。

 篁は泥濘ぬかるんだ地を蹴ると、大きく跳躍していた。

 その動きを見て鬼姫はにやりと笑い、太刀を振った。


 鋭い一撃。

 勝負はついていた。


 雨が地を打ち付けていた。

 遠くの空で雷の音が聞こえていた。


 雨の降りしきる中、立っていたのは篁だけだった。

 鬼姫は前屈みになり、地に吸い込まれていくかのように倒れていた。

 斬ったわけではなかった。

 太刀の刃とは逆側、峰の部分で鬼姫の頭を叩いて昏倒させたのだ。


 篁は太刀を収めると、鬼姫のことを抱き起こした。

 降りしきる雨の中、篁に抱き起こされた鬼姫は笑っていた。

 その顔は鬼姫であり、花であった。

 どちらからというわけではなく、お互いに顔を寄せ合っていた。

 雷鳴が轟いた。

 鬼姫の顔は花となり、花の顔は鬼姫となった。

 最初から、ふたりはひとりだったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ