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四章 3

さて群馬。道は判らないが、とにかく進路表示板を見ながら北上すれば着く筈だ……多分


「……電車が使えば早いんだけどな」


しかし金が無い。財布の中は、なんだかんだでもう残り千円。俺にどうしろと言うのだ神様は


「今更じゃが電車は駄目ぞ。道筋が限られてしまう」


「……何だか逃亡犯みたいだよな」


「車、自転車等も一長一短じゃ。結局の所、歩きが一番じゃよ。速度こそ遅いが、応用が利くのでな。……我は捕まる訳にはいかないのじゃ」


「……そうだな」


未だに状況を飲み込めていないが、凛が変な奴らに追われているのは確かなのだろう。なら慎重過ぎると言う事は無い


「よし、じゃ頑張って行くか! な、凛」


「うむ。おんしには大変な負担と苦労を掛けてしまうが……頼むぞ、剣之助。全てが終わりし時には、我はおんしが望む物全てを用意すると約束しよう」


「ガキがつまらない事言うなって。んじゃ少し走るから気をつけろよ」


「……ガキでは無いと言うのに。祠に着いた時が楽しみじゃ」


意味ありげに言い、凛は静かになる。どうやらお忍びモードに入ったらしい


「……ふ〜」


吐く息も、すっかり白くなったな。肩に掛かる重みと共に、結構身体に響くよ


……全部終わったら、頑張ったな俺って思えるよな、きっと


「ダッシュ行くぜ〜!」


今まで一度も頑張って来なかった分、頑張ろうぜ俺!




走って、休んで、歩いて走って


夢中になって群馬を目指す


昼飯を取る時間も惜しく、100均で買ったコーヒー牛乳で済まし、凛用のおにぎりと茶をバッグへ適当に放り込む


「ぬ!? む! ……む〜」


とにかく急いだ。凛は俺に急げとは言わないが、バッグ越しに感じる焦りが、俺を急がせた。しかし……


「……まだ山梨から出れないか」


夕方になり、空は沈み始めているが、まだ山梨県から抜け出せない


何とか今日中に群馬へ入っておきたい。ピリピリ痛む足の裏を無視し、俺は小走りをする


「……剣之助。今日は此処までじゃ、寝床を探してくれんかの」


「まだ行けるって。もう少し行こうぜ」


夜通し行けば、なんとか着くだろう


「もう我は疲れた。はよ休ませい」


「だけどよ」


「……おんしが倒れたら元も子も無いじゃろうて」


俺に聞こえない程の小声で凛は、ぼそりと呟く


「凛?」


「え~い、早く休ませんか! 森じゃ、森を探すのじゃ~!!」


「あ、ああ、判った」


水を差されてしまった感じだが、現金なもので休むと決まるとホッとする


「じゃ市外地の方に行ってみっか」


良い寝床がありゃ良いけどな



「んじゃ、今日は此処にするか」


寝床は割と直ぐに見付かった。市内から少し歩いた所に、河川敷があったのだ。そこに架かる橋の下に近付くのコンビニで大量に貰って来たダンボールをひいて、腰を下ろす


「ふー。今日は疲れたな凛」


「こら、開けるでない」


横に置いたバッグのファスナーを開けようとすると、凛に止められる


「ここらには結界が張れぬ。このままバッグの中で良い」


「そうなのか? じゃ場所を変えよう」


痛む身体に、よっこいしょっと声を掛け立ち上がる。歳かな……


「無理をするな剣之介。はよう休め。我ももう動かされたくない、酔ってしもうた」


「……大丈夫か?」


「うむ。寒空の下じゃ、おんしこそ身体を壊さぬようにな」


「俺にはダンボールがあるからよ! んじゃおやすみ」


「うむ。おやすみじゃ」


バッグにダンボールを掛け、俺もダンボールを被る。中々暖かいぜ


しかし明日からどうするべかな、金。本人確認がない日払いとかないだろうか?


ギュルルルル


「…………」


腹減ったなぁ


キュルル


「…………つ、釣られてしもうたではないか!」


「す、すまん……はぁ」


どっか賞金付きの大食い店とかあればなぁ

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