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199【王子達4 水攻め 】

長くなってしまったので、サーカイル王子への拷問を2話に分けました。本日中にもう一話投稿します。


残酷な描写、気持ちの悪い描写を含みます。

苦手な方はご注意下さい。

【side サーカイル王子】


 ばっしゃーん!


「――!?」


 僕が『転移』させられたのは、白い水が貯められた部屋だった。取り押さえられた格好のまま『転移』させられた僕は、頭から白い水に突っ込んでおぼれかけてしまう。


「っぷは! はぁ、はぁ。うぇ……こ、ここは……」


 慌てて立ち上がった僕は、部屋の中に漂っていた甘い匂いに思わず顔をしかめるも、何とか気を取り直して周囲を確認する。その部屋は、円形の狭い部屋で、部屋の中はお腹のあたりまで白い水が溜まっていた。


(つ、冷たい。それにべたべたする)


 部屋に貯められた白い水は非常に冷たく、さらに粘性があった。そのせいで、僕はどんどん体温を奪われていく。


(くっ……こ、こんなところにいたら凍え死んでしまう! 何とか脱出しないと!)


 僕は白い水をかき分けて部屋の中を捜索したが、部屋の壁に扉はなかった。それどころか、壁のつなぎ目のようなものすら見つからない。一面、何もない壁が続いているだけだった。


(くそ、なんなんだここは! ――っ、うわ!)


 冷たさのせいで足が上手く動かず、僕は足を滑らせて、再度、水の中に身体を沈めてしまう。その際、水を少し飲んでしまった。


「っがは! うぇ……な、なんだこれ。牛乳? それに……はちみつか?」


 飲んでしまった事で、白い水の正体が、牛乳にはちみつを混ぜたものだという事が分かった。だが、それが分かったからと言って出来る事は何もない。ただ、寒さに体を震わせる事しか出来なかった。




(い、痛い……痛い痛い痛い……)


 どれくらい時間が経っただろうか。身体中が冷たいを通り越して、痛いと訴えていた。足はすでに痛い以外の感覚が無く、自分がちゃんと立っているのかすらわからない。全身が震えて、歯ががちがちと音を立てている。両腕で自分を抱きしめるも、少しも暖かくならない。本当は座り込んでしまいたかったが、白い水がある以上、立ち続けるしかなかった。全身を震わせながら、感覚のない足に力を入れて何とか立ち続ける。


 そうして何とか耐え続けていると、深刻な問題が発生した。


(は、腹が……)


 腹を冷やし過ぎたせいか、それとも白い水を飲んでしまったせいか、原因は分からないが、腹が痛みを訴えてきたのだ。


(こ、これは……ダメだ! 絶対ダメだ!!)


 その痛みから、自分が下痢をもよおしているのが分かる。過去の経験から、()()()()()()()、楽になる事も分かっていた。しかし、絶対に出すわけにはいかない。自分の半身が使っているこの白い水は、ここに溜まり続けているのだから。


(く、くそ……いつまで耐えればいいんだ……)


 その時、僕はモーリスの言葉を思い出した。


(そ、そう言えば……モーリスはこの魔道具を『真人間になるまで、とある場所に閉じ込めておく魔道具』と言っていた。僕が真人間になればここから出られるのか? いや、だが……僕は真人間……だよな?)


 周りの人間の期待に応えるために努力してきた僕が真人間でないわけがない。女性で遊ぶ事もしたが、彼女らは僕が買ったものだし、彼女達も喜んでいたはずだ。何も悪い事はしていない。


(どうすれば……どうすれば出られる? 真人間とはなんだ? なんなんだ!?)


 僕は足の痛みと腹痛に耐えながら考えを巡らせる。しかし、どれほど考えても自分が真人間でないとは思えなかった。




「く、くぅぅぅ………………。――!?」


 腹痛が限界を超えてしまい、もう我慢が出来なくなるという瞬間、僕の身体がぐるりと回転した。


(これは……『転移』か? 僕は真人間になれたのか?)


 おそらく、あの商人に付けられた魔道具によって、僕は『転移』させられたのだろう。モーリスの言う真人間というのが何なのかは結局分からなかったが、あの部屋から出られたならそれでいい。腹痛を最後の力で抑え込みながら『転移』が終わるのを待つ。


「っ……出られたのか? ここは……。――!? な、なんだこれは!?」


 僕が『転移』させられたのは、水に浮かべられた木のボートの中だった。そのボートは、通常のボートと違い、2つのボートを逆さまに重ね合わせたような形をしており、手足と頭を出す穴があけられていて、僕はそこにすっぽりはまるように転移させられたのだ。


(まるでひっくり返された亀になった気分だ……うっ! く、くそ……腹が……)


 状況に混乱している僕に、腹痛が『早く楽になっちまえ』と訴えかけてくる。


(ボートのせいで服を脱ぐことが出来ない……こ、このままでは!)


 外に出られた安堵と訳の分からない状況に放り出された困惑、そして、状況を理解した事による焦りの感情が入り交じり、頭が混乱した。結果、僕の我慢は限界に達する。


(あ、ああ、ああぁぁぁあああーー!!)


 僕は、産まれて初めて粗相をした。

サーカイル王子への罰。前半は水攻めでした。サーカイル王子が『転移』したのは、アレンが、最後の仕掛けを発動したからです。(193話のラスト)


本日もう一話投稿予定です。

お楽しみに!

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