196【王子達1 カミール=ルーヴァルデン】
カミール王子視点の話です。
女性軽視、および女性への暴力的な描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください。
カミール王子が産まれてから、アレンによって『転移』させられる日までの話なので、飛ばして読んで頂いても物語は繋がります。
恐れ入りますが、読まれる方は自己責任でお読みください。
俺の人生は特別で唯一で至高で……そして、つまらないものだった。国王陛下の長男として生を受けた俺は、やる事全てが肯定される。成功しても失敗しても褒められた。頑張ってもさぼっても周りの大人たちはもてはやす。自分がそういう存在なんだと理解してしまった俺は、わずか5歳にして自分の人生に飽きた。
そんな俺を変えたのは、6歳になる時に紹介された婚約者候補の女だった。産まれて初めて会った同年代の異性に、異様なほどに胸がときめいたのをよく覚えている。後から分かった話だが、あの時、俺は婚約者候補の女の両親に、大人用の精力剤を盛られていたらしい。俺は自分の中の狂ったような性欲に突き動かされて目の前の女に襲い掛かった。
今思えば、その家は女を生贄にするつもりだったのだろう。女は泣きながら助けを求めたが、その家の者達は誰も女を助けなかったのだから。まだ、精通していなかった俺は、自分の中の性欲を発散させる術を知らず、ただ欲望のままに目の前の女を汚しつくした。
その後、処女こそ失わなかったものの、嫁入り前の娘を汚されたとして、その家に王家から様々な便宜が図られたとか、王族に薬を盛ったことがバレて家が取り潰されたとか聞いたが俺はそれどころではなかった。泣いて嫌がる女を汚す快感を知ってしまったのだ。
王宮に戻った俺は、試しに入浴の時に身体を洗ってくれるメイドを汚してみたが、あの時のような興奮を得る事は出来なかった。そのメイドが全く嫌がらなかったからだ。
着替えを手伝ってくれるメイドや朝おこしに来てくれるメイドを汚しても、結果は変わらない。彼女たちは、仕事の都合上、男性の身体に耐性があったのだろう。当時の俺がいくら汚そうとしても彼女達にとって、それは子供の可愛いいたずらでしかなかったのだ。
悶々とした日々を過ごしていたある日、自分の身体に異変が起きたのを感じる。これが精通であることを後に知るが、当時の俺はそれが何なのかが分からなかったのだ。ただ、何となく、本当に気まぐれで、それを使って入浴の時に身体を洗ってくれるメイドを汚してみた。あの時の興奮は今でもよく覚えている。
それまで俺の行為に全く反応しなかったメイドが、本気で嫌がったのだ。嫌がり、拒絶し、『俺の身体を洗う』という職務を全うする事さえ拒んできた。それらを全て無視し、メイドを蹂躙する心地よさは、ここ数年の悶々とした日々を忘れさせてくれる。ようやく、自分の中の欲望を吐き出す術を知った俺は、その行為にどっぷりとはまっていった。
それから俺は、手当たり次第にメイド達を汚していったが、ある時を境にメイド達がその行為を嫌がらなくなった。どうやら母上が俺の周りのメイドをそういう事が好きな者達で固めたらしい。それはそれで楽しかったのだが、俺はどうしてもあの興奮をまた味わいたかった。
だが、その頃になると俺の周りに集まる女性は、メイド以外の女性達も、その行為を嫌がらない者達ばかりになっていた。母上やサーカイルがそういう女性で俺の周りを固めたらしい。たまに貴族令嬢を相手にする事もあるが、彼女達は家のために覚悟を決めている者が多く、泣き叫んで嫌がるような者はほとんどいなかった。俺はまたしても悶々とした日々を過ごす事になる。
そんなある日、俺は運命の出会いを果たした。とある貴族から『奴隷化の首輪』というチェーン型の魔道具が献上されたのだ。なんでも、着用した物を奴隷の様に操り、身体を乗っ取る事も出来る魔道具らしい。俺は父上に掛け合い、『奴隷化の首輪』は王家所有の魔道具という扱いにした。そうすれば俺はいつでも『奴隷化の首輪』を使う事が可能になるからだ。
さっそく俺はその辺の男に『奴隷化の首輪』を付けさせて、身体を乗っ取る。乗っ取った身体は、自分の身体と変わらないように動かすとこが出来た。これならば、問題なく女性を汚す事が出来るだろう。その夜、俺は3人の女性を汚す事が出来た。
3人の女性を汚した俺は、心地よい余韻に浸りながらそのまま眠ったのだが、目を覚ますと2人の憲兵が俺に剣を向けていた。婦女暴行犯の俺を捕えに来た、とのことだ。憲兵達の名前を聞いてから、俺はあえて憲兵達の命を脅かす様に暴れまわった。そこら辺にあった木材を手に取り、憲兵達に襲い掛かったのだ。当然、憲兵達は手に持った剣で反撃してくる。そして、憲兵の剣が俺の首をはねる寸前に、俺は『奴隷化の首輪』を解除した。
『奴隷化の首輪』を解除した俺は、先ほど名前を聞いた憲兵達を呼び出して、『奴隷化の首輪』を秘密裏に回収する。アイズとブルーと名乗った憲兵達を近衛兵として引き立ててやることを条件に、今回の事を口留めしたのだ。幸いにもアイズと名乗った男の方は出世欲が強かったらしく、『奴隷化の首輪』の回収も口留めも問題なく成功した。ブルーと名乗った男の方は、アイズが何とかしてくれるだろう。
『奴隷化の首輪』を回収できた俺は、自室に戻って産まれて初めて色々な事を考えた。今回のような事が続けば、いつか、『奴隷化の首輪』を失ってしまう。そうならないように必死に頭を働かせたのだ。
そして俺は、弱みを握っている者、もしくは弱みを握る事が出来る者を奴隷とする事を思いついた。奴隷にされるものが、ある程度自発的に動いてくれれば、『奴隷化の首輪』を失うリスクも減るだろう。それに、近衛兵に引き立てたアイズとブルーを、奴隷とした者に同行させることで、万が一の場合にも備えた。これにより、俺が充実して過ごせる環境がようやく完成したのだ。
それからは、『奴隷化の首輪』を使って己の中の欲望をどんどん発散していった。たまに弱みを握った者を、俺自ら汚してみたり、反抗した者を裸で貧困街に置き去りにしたりして楽しんだりもする。そんな生活をしていたからか、成人を迎えても、父上から王太子に任命される事はなかったが、どうでもいい事だった。
適当に王子としての義務を果たしつつ、特別な俺だけに許された、最高の遊びに興じる。楽しい人生だった。モーリスが王太子に就任するあの日、あの平民に変な魔道具を付けられるまでは……。
その日、俺はモーリスが王太子に就任するための儀式に参加していた。退屈極まりない儀式だが、第一王子としては参加しないわけにはいかない。面倒だが、父上達と一緒に会場に入場する。儀式を始める前に、母上が何かわめいていたが、正直どうでもいい。俺は、儀式の後で控室に来るように言っておいた貴族令嬢をどう汚すかで、頭がいっぱいだったのだ。
儀式が終わり、ようやく楽しい時間が始まると思った直後、俺はモーリスの近衛兵に拘束される。
「――貴様ら……我は第1王子だぞ!? 拘束を解け! 我にこんなことをして……楽に死ねると思うなよ!?」
俺は近衛兵にわめいたが、近衛兵は拘束を解こうとしない。とっさにアイズとブルーを探すも、会場内には、アイズとブルーの姿はなかった。
そんな中、モーリスが俺の罪状を述べる。罪状は貴族令嬢への暴行と言っていたが、それは間違いだ。俺が暴行したのは平民だけで、貴族令嬢を力ずくで汚した事は無い。俺は、ちゃんと彼女達の親に合意を得て、彼女達を汚したのだから。
だが、モーリスは『多くの貴族からカミール王子に娘が襲われたと報告が来た』と言った。俺は、貴族達に裏切られたのだ。
その後、アレンとかいう平民によって、腕に魔道具を付けられた。平民の男が許可なく俺に触れた事に激しい怒りを覚えるが、近衛兵に拘束されている以上、にらみつける事しかできない。
「ありがとうございます! アレン、魔道具を起動してくれ」
「承知しました」
「……は? ちょっと――」
モーリスと平民が会話をするのが聞こえる。父上が何かを言いかけていたが、言葉の途中で俺は『転移』させられた。王宮の中は『転移防止』の魔道具が設置されているが、どうやら何かしらの手段で魔道具を打ち破ったらしい。
そして、そこから俺の地獄が始まった。
明確な描写は避けたつもりですが、運営様から指摘が入りましたら修正します。
次回はカミール王子の転移後の話です。
残酷な描写満載のお話です。
苦手な方はご注意ください。