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2017.10.20 運命の日④ 高谷修平 病院
「残念ですが、今夜が山です」
医者は言った。
「できる限りのことはしますが、覚悟しておいてください」
そして、手術室に戻っていった。
母ユエと父修二は、病院の廊下にじっと座っていた。
とうとう来てしまったのかもしれないと思いながら。
でも、まだ希望は捨てていなかった。
「彼女に連絡した方がいいと思う?」
ユエが修二に尋ねた。
「手術が成功してからでいい」
「もしダメだったら」
「それも、終わってから伝えた方がいい」
2人はしばらく黙った。
「あの子、がんばったよね」
ユエが言った。
「もう十分がんばったよね?」
「今もがんばってる。だから諦めるな」
修二がユエの肩を抱いた。ユエは静かに泣いていた。




