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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年10月

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2017.10.20 運命の日② 新道隆 モノクロの森

 その頃、新道先生はモノクロの森の真ん中であぐらをかいて、何かが現れるのを待っていた。数日前から予感がしていたのだ。ここにいれば()()()が現れるだろうと。

 その予感は当たった。

 色のない世界に、深緑色の人影が現れた。森の木々にまぎれるように、しかし、全存在を高らかに主張するように。

 それはもちろん、初島緑だった。

「あら、おかしいわね」

 初島はわざとらしくあたりを見回して言った。

「さっきまでかわいい女の子と追いかけっこをしていたのに。どうしてこんな所に来てしまったのかしら」

「私が呼んだからです」

 新道先生が断固とした口調で言った。

「これ以上子ども達を傷つけないように、私が」

「あんたが?」

 初島はバカにしたように笑った。

「あの時、何もできない役立たずだったあんたが?そんな力を持っているなんて驚きだわ」

 そして、こう言った。

「いいの?あんたがこちらの世界にいると、修平って子に力が届かなくなって、命に関わるのではないの?」

「もうその手には乗りませんよ。修平君は全て了承済みです。それに、これは彼の願いでもある。初島」

 新道先生の口調が変わった。『先生』の口調から、一人の男の口調に。

「お前が何を企んでいようと、もう好きにはさせない。今日で終わりだ。この悪しき因習を破り、全てをあるべき所に帰す!」

 新道の声とともに強風があたりを取り巻き、初島に襲いかかった。初島は不敵に微笑みながら宙に浮いた。新道も追いかけて空に舞い上がった。両手を広げ、さらなる風を巻き起こし、初島をとらえようとした。しかし初島は、まるで風が起きていないかのようにそこにとどまって笑い続けた。

「あはははははは!」

 甲高い声が響いた。

「ムダよ!あんたは私が創ったんだから!創り主にはかなわないんだから!」

 そして大地に視線を走らせた。すると、木々やツタが急に伸びてきて新道の手足に絡まりだした。新道はそれを風の力で引きちぎると、逃げようとする初島を追った。






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