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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年10月

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2017.10.13 金曜日 サキの日記

 テレビ収録の日が近づいてきて緊張してる。あと一週間だ。母に連絡すると、


 そんなに緊張しなくても、

 いつもどおり話せばいいのよ。


 と言われたが、いつもどおりって何?あなたと話す時の私はたぶんいつもどおりじゃないんですけど?と言いたくなった(言わなかったけど)。

 佐加にその話したら『服何着るの?大事だよ?』と言われた。ちょうど土日に入るから札幌に買いに行くことになった。平岸パパにショッピングモールに連れて行ってもらおうと思っていたけど、佐加は『テレビにモールの服はダメ』と言う。何でダメなのか聞いても『とにかくダメ』と繰り返す。

 買い物にはヨギナミもついてくる。公務員になるから真面目なスーツを買わなければならない(まだ面接とかあるらしい)ので、ヨギナミのスーツ探しの方が大事かもしれない。

 ヨギナミは立派だ。自分の道を自分で切り開いてる。

 私はどうだろう。大学行くのも勉強したいからというよりは『社会に出るのを先延ばしにしたいから』みたいな感じでだらけてる。もっとしっかりしないと。

 所長は嫌がっていたけど、最初に研究所に来た頃の体験を記事にしてfacebookに載せた。あれは本当に不思議な時間だった。たまたま道に迷って、所長に会って──そこから全てが始まったのだ。

 ただ、所長の辛い人生とか幽霊の話は書けない。プライバシーに入り込みすぎるし、幽霊の話なんて誰も信じない。でも、私がここで体験したことをどうしても残したい。どうしたらいいんだろう、と考えていたら。


 フィクションは書けないなんて、そんなことはないと思うわヨ。

 シナリオを書いてみなさい。


 カントクの言葉を思い出した。

 そうだ、フィクションとして、

 小説にして、ここでの体験を書いたらどうだろう?


 そう思いついて、さっそく、所長との出会いの場面から、その後の楽しい夏の出来事、平岸家のこと、私が来たいきさつ──なんかを、物語形式で書いてみた。そしたら、だんだん面白くなってきて、いろんなことを思い出して──気がついたら、夜中の2時まで書き続けていた。

 やばい。

 私はまた、自分が受験生だということを忘れていた。

 でもいいや。

 何か、大事なものが見つかったような気がする!




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