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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年10月

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2017.10.7 土曜日 サキの日記

 歌のレッスンがないので出かけず平岸家にいた。佐加が遊びに来た(本当は勉強しに来たはずなんだけど、ずっとしゃべっていた)。

 佐加は好きな美容家の本を持ってきていたけど、載っている化粧品は一万円以上する高いものばかり。しかも整形みたいなことめたやたらに書いてある。しかも『体に丸みがなくなるからなるべく運動しない』なんてとんでもないことまで書いてあった。そんなことしたら筋肉がなくなってますます太るし、歳を取ったら体が弱って寝たきりまっしぐらじゃないのか。

 コスメは好き。でも私が衝動買いしているのはせいぜい千円か二千円のプチプラ。一万円あったら本を買ったほうがいい。

 佐加とあかねが『サキはお金持ちなんだからこれ買って試しに使わせてよ〜』とか言ってきてうんざり。載っている高いもの見ても全くほしいとは思えない。クリームに2万?ゲームに課金した方が人生楽しくなるんじゃないかと思ってしまう。見た目に悩みながら高いクリームに浪費するより、好きなことに2万使って楽しんだ方が絶対健康にいいはずだ。

 母は一応女優なので、テレビコマーシャルに出てるあるメーカーの化粧品を使っている。でも40代の娘なので、私のプチプラを勝手に持っていって使ったりしていた。思い出したので母に『いらないチークとリップあるんだけど、欲しい?』と聞いたら『試しに使うから送って』と言われる。自分でいくらでも買えるだろうけど、娘にもらうと何か違うのかな。

 女のメイクは、めんどくさい。

 男に生まれれば、そんなものに金と時間を費やさなくて済んだのに。チクセントミハイも書いてなかったっけ?見た目にお金を費やすのやめれば、世界の材料問題は解決するとかなんとか(よく覚えていないけどそんなようなこと書いてた)。容姿は遺伝で決まる部分が大きいから、そこにお金や時間を使いすぎるのはよくないって。もう一回あの本読んでみようかな。

 もっと本質的なことにお金と時間使いたい。

 私って女子力ないな。ほしいとも思わないし。

 女子力って『どうせ女のやることなんて本質的じゃない』ってバカにしている言葉なんじゃないだろうか。仕事とか経済力のことを『男子力』とは言わない。つまり、男がやることが本当のことで、女のやることは本当じゃない、どうでもいい。だから『女子力』なんて言葉が生まれたのでは?

 男女平等なんて嘘で、日本は未だに、男子のすること(仕事、経済力)だけを尊いと思っている人が多いのではないか。

 あー!今日全然勉強してない!

 二人としゃべりながらマドレーヌ爆食いしてただけ!

 また太る!

 佐加のせいだ。いや、平岸ママの作りすぎのせいだ。

 いや、わかってる。本当に悪いのは流されてしまう自分だ。

 まだ10時だから、これから勉強する。





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