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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年9月

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2017.9.1 金曜日 サキの日記

 同時に二人の人を好きになる、ということはあるだろうか。


 私が好きなのは結城さんだ。

 だけど所長に、


 明日、まりえさんと栗山町に行くんだ。


 と言われて、なんかすごく嫌な感じがした。

 所長って、私のことを好きなんじゃなかったっけ?

 なんで他の女の人と付き合おうとするの?

 諦めようとしてる?

 それは嫌だなと思った。でも私が好きなのは結城さんだし、仮に所長に告白されて「付き合ってください」と言われても困る。


 今日も研究所に行ってしまった。ここんとこ連続で行っちゃってる。しかも結城さんは出かけていていなかった。所長は外国語の本を読んでいた。私はかま猫と遊び、ポット君とオセロをして、2対1で負けた。ポット君は喜んで、笑顔を表示してクルクル回りながら充電場所に戻っていった。ああいうプログラムなんですかと聞いたら、


 たぶん岩保は、

「僕は何もしてない。勝手に学んだだけ」

 って言うよ。

 ポット君が変なことをするたびに連絡してるんだけど、いっつも、

「僕はそんかプログラムしてない」

 って言うんだよね。


 と。

 それから所長と、町のうわさ話とか学校の話をした。

 普通に、前と同じように。

 友達のように。

 それから帰ったけど、帰り道でも心はなんとなくモヤモヤしていた。


 明日、まりえさんと出かけてほしくない。

 でも、そんなこと言えない。

 

 私が好きなのは結城さんだ。明日は歌のレッスンで会える。佐加とヨギナミも来てくれるから、奈々子と結城さんが二人きりになる心配はない。

 私は明日、結城さんに会えることを喜ぶべきなのだ。

 なのになぜだろう、所長のことばかり考えてしまって、まりえさんに『明日、所長と出かけるんですか?』とLINEしてしまった。『お土産を買ってきますね』と返事が来た。『楽しみにしてます』と返した。

 私、何やってるんだろう。

 これじゃただの嫌な奴だ。

 奈々子が出てきて


 やっぱり創くんのこと気になるでしょ。


 とニヤけながら言ったので、黒猫の杖で追い回していたらそのうち消えた。

 イライラする。

 なんでこうなるんだ。

 そうだ、私受験生じゃん。しかももう9月だ。勉強に集中しなきゃいけないのに、気が散ることばかり起こる。

 でもぶっちゃけ、勉強なんかどうでもいい。

 この落ち着かない頭をなんとかしたい!


 ダメだ。今夜はコーヒー飲む。

 徹夜するかも。



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