2017.7.27 木曜日 河合先生への日誌 与儀奈美
今、私は病院にいます。
母の容態が急変したんです。お医者さんは、
「あと一週間もつかどうか」
と言いました。
なのに、何の実感もわきません。
明日バイトに行けなくなったら収入が減ってしまう。それが気になっています。
おかしいですよね、母が今にも死のうとしているのに、お金の心配しかできないなんて。
どうして私はこんなに冷たい人間になってしまったんだろう、と考えています。
母の世話をしすぎたせいでしょうか。
午前中は市場でバイトしていました。野菜を袋詰めにするだけなので簡単ですが少し退屈です。私には接客の方が合っているんだろうなと思いました。でももうレストランには戻れないし、仕事がもらえるだけありがたいと思っていました。
でも、昼頃、スギママが市場に駆け込んできました。母が大変だからすぐ病院に来てくれと。それを聞いて、佐加も一緒に病院についてきました。ついさっきまで隣にいて、泣いていました。私よりよっぽど悲しんでいるように見えました。お父さんが迎えに来て、明日また来ると言って帰っていきました。
どうして、私は泣きたくならないんだろう?
ずっと考えています。
今日は、いえ、しばらく、病院から出られないと思うので、ずっと考え続けるでしょう。
母が死んだら、答えが出るのでしょうか?
私はなんて恐ろしいことを考えているのでしょう。
暗くなってすみません。でも今大変なので許してください。




