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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年7月

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2017.7.17 河合先生への日誌 高谷修平

 今日、原田先輩と二木先輩が図書室に来てました。先生も渡されたでしょ?原田先輩の新作本!僕も押し付けられました。『昨今の政治について物申す』どっかのテレビ番組みたいな内容でした。途中でかなり昔の卒業生の、本田というおじいさんが加わって、昔の政治家の話をしたり、昔の秋倉高校の様子を話したりしてくれました。前は学校の近くに店があって、パンや駄菓子を売っていたそうですね。今もあればいいのになって伊藤さんが言ってました。

 あと、先生は昔不良だったそうですね。同級生の話を聞きましたよ。どっかの店の壁を蹴破っておまわりさんに説教されたそうじゃないですか。今は穏やかに見える先生にそんな過去があるなんて驚きです。いや、いいんですよ。「若い頃はみんなそんなもんだ」って同級生の方も言ってましたからね。

『若い頃はそんなもん』僕はこの言葉に少々引っかかりを覚えます。みんな、若い男子はみんな反抗的でヤンチャで乱暴できると思っているんですね。僕はそういうことができない状態で育ちました。もちろん全く反抗しないわけじゃない。母にはよく「ああ言えばこう言う」と、すぐに言い返す癖をとがめられています。ですが、健康な人達みたいな暴れ方はできない。 

 不良って健康なんですよ。

 体が丈夫じゃないと不良にもなれないです。

 いじけた話になってきたので話題を変えます。二木先輩がビザ屋で働いているので、全員におごってくれました。でも半分はホンナラ組に食べられましたけど。あいつら、今日は一日中走り回って人を脅かして回ってたのでめっちゃ腹減ったらしいです。2人とも見た目が腐った死体みたいだったので、マジで怖がって逃げる人がたくさんいました。大人も子供も。でも、おもしろがって「一緒に写真撮ってもいいですか」と記念撮影したがる人もかなりいました。僕も何人か撮ってあげました。ギリギリでやることに決めたお化け屋敷ですが、とりあえず成功と言っていいでしょう。ただし、祭りの日なのに一日中校舎にガチの悲鳴が響きまくり、伊藤さんは「耳障りでやだ」と言っていました。

 花火が延びてしまったのは残念ですが、また明日人が集まって盛り上がるでしょう。卒業生たちが昔を懐かしがっているのを見て、自分たちもいずれそういう日が来るのかなと思いました。残念ながら、その頃にはもうこの学校はなくなっているし、そもそも僕がそこまで生きられるかどうかわかりませんが。




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