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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年7月

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2017.7.12 水曜日 サキの日記

 シナリオを書こうと思ってパソコンに向かったけど、何も思いつかない。やっぱり私は現実に起きたことを書く方が向いてると思う。

 学校祭の準備。急遽やることになったお化け屋敷のために、ホンナラ組がガイコツの絵を描き、伊藤ちゃんとスマコンがオカルトな装飾の是非について議論していた。伊藤ちゃんは、人をおどかしたり迷わせたりするものがあまり好きではないらしい(だったら宗教もやめとけばいいのにと思うけど)。

 第1グループはというと、杉浦と藤木がシーツをかぶって走り回り、佐加とヨギナミはキャーキャー言いながら逃げ回っていた。なんだか元気いっぱいで楽しそうだ。

 うちのグループは、ダレてバラバラ。勇気は動画ばっか撮ってるし、カッパはやることがないのか、佐加が作ったケーキ型ソファーにだらしなく寝てたし、あかねはそもそも準備に参加する気がなく、授業が終わるとすぐ帰ってしまう。

 私は一人で廊下側の椅子に座って、いろいろ考えていた。もう昔のことを思い出すのはやめよう(と思っていること自体が思い出してることになるので困るんだけど)とか、何とか働かずに暮らす方法はないかなとか。でも、いつまでもバカと妙子に頼るのも何か違うなとか。

 世の中に出て働ける自信、全然ない。帰ってから勉強に飽きて何か面白い動画でも見ようと思っても、そもそも何にも興味がわかない。


 昔のお化け屋敷では、こんにゃくを糸で吊るしてたらしいよ。


 奈々子がどうでもいいことを言っていた。


 触ると冷たくて怖いから。


 今は絶対やりたくない方法だ。食べ物の無駄だし。


 結城さん、学校祭に来るかな。

 今気になるのはそれだけだ。去年は花火だけ見に来てたっけ。今年もそうなのかな。結城さんはけっこう怖がりらしいから、お化け屋敷には絶対招待したい。そう考えたらやる気出てきた。明日は準備ちゃんと手伝おう。

 佐加に結城さんの話したら、


 普通女の子がキャー言って男の子に抱きつかね?

 逆じゃね?


 という返事が来た。いいじゃん別に男の人がお化け怖がったって。実際取りつかれている身としては『お化け屋敷』というもの自体が気に入らなかったんだけど、それはみんなには言わなくて正解だろう。

 ただでさえ心配かけてるのに、これ以上気を遣わせたくない。




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