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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年4月

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2017.4.8 土曜日 サキの日記

 どうしよう。前の学校の子に私の居場所がバレたかもしれない!

 私が出てるカフェのPR動画に、

 

 この子、前うちの学校にいた。

 転校しちゃったけど。


 と書き込まれているのを見た。その瞬間、前の学校で起きたことの全てが、一気にフラッシュバックした。

 ほんの数分、私はパニックになった。

 どうしよう、どうしようって。

 でもしばらくしたら、だから何なのだという気もした。もうあの学校とも、あの子達とも、私は関係ない。

 でも、気になる。

 私は、このコメントをしたのがあの2人だったらどうしようとか、今頃あの2人がこの動画見てるんじゃないかとか、そう考えてしまって眠れなくなった。もし奴らがこれを見て秋倉に来たらどうしよう。

 いや、そんなことない。

 こんな田舎にあいつらが来るわけない。

 そう思いたいけど、やっぱり怖い。


 今日は数学の補習がやっと終わり、佐加と奈良崎を連れてカフェに行った。そこには勇気もいた。

 やっぱり別れるなんて無理。

 これでみんな無事3年になれる〜!って盛り上がった。でも、3年になっても数学はある。『そもそも俺達卒業できるかな?』と奈良崎が言い出して、その後は『なんで数学はあんなにわけわかんないのか』という愚痴大会になった。

 佐加と奈良崎は就職組なので、勉強ができなくても大丈夫だろう。でも私は大学に行くので勉強しなきゃいけない。

 勇気と2人きりになるのが気まずかったので『勉強したくなった』と言って早めに帰った。でもそれから何をしたのかと言えば、平岸家でクイニーアマンを食べて、テレビをぼーっと見ただけだった。その間勇気からなにかとLINEが来てたけど、返信するのめんどくさくてスルーしてたら着信があって電話で話すことになってしまった。なぜか今日は勇気がしつこい。『今何してんの?』と一時間おきに聞かれてる気がしてなんか怖いので、そういうのやめてくれないかなって言ったら、


 サキは、俺が今誰と一緒にいるか気にならないの?


 と聞かれた。全く気にしてなかったことに気づいたけど、そうは言えなかったので気にしてるよと答えたら、


 今、修平と秀人が来てる。


 どうでもいい人達の話を30分くらい聞かされた。『勉強したいから』と言って切って、疲れたのでベッドに寝転がって動画見てた。そしたら見つけちゃったんだ、このコメントを。

 どうしよう。誰かに相談したほうがいい?

 でもまだ何も起きてない。

 大丈夫だよね?

 落ち着け、私。







 

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