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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年3月

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2017.3.13 月曜日 サキの日記

 学校に行ったらスマコンがいきなりタロットカードを突きつけてきて『なんとかのキングが出たから今までの成果がなんとか』とか言われたけど興味がないので内容が全然頭に入ってこなかった。近くで見ていた修平にも何かつきつけてたけど『気にしない方がいいよ』とヨギナミに言われた。佐加が言うには、カッパが伊藤ちゃんにつきまとうのが気に入らないから嫌がらせをしているのではないか、とのことだった。なんで私が巻き込まれなきゃいけないんだ!?

 昼休みに図書室に行って、伊藤ちゃんに『神を信じてる人って何を信じてるの?』と聞いてみたら、


 自分よりも偉大な何かが存在して、

 世界をお作りになっていることを信じているの。


 と即答された。引いたのでそのまま本は借りずに教室に戻って、私は何を聞いたんだろうと考えたら、佐加が家から持ってきたラインストーンを窓枠にボンドで貼ろうとした。杉浦が『器物損壊罪だ!』と叫びながら止めた。法律の話とか、商店のシャッターに落書きする奴が許せんとかいう話を聞いているうちに昼休みは終わった。

 やっぱり私は宗教よりは哲学の人間だ。

 偉大な何かとか神とか、よくわからない。


 帰り、勇気は声をかけてこなかった。いつもなら一緒にカフェに行こうって声をかけてくるのに。今日は行く気だったのに、声さえかけてくれたら。でも、ホンナラ組と一緒にどっか行ってしまった。たぶん奈良崎の家でゲームでもするんだろう。前に私も行きたいって言ったら、『他の男の家に彼女を入れるのはちょっと』とか言われた。

 やっぱり別れるべきなんだと思う。

 でも、言い出せない。


 平岸家に戻って、かぼちゃとシナモンのシフォンケーキを食べた。あかねは3年の卒業式から得たインスピレーションで、またしてもやばいBLマンガを描いていた。学校に内容知られたら訴えられそうなやつ。しかも『河合先生にも見せたい』と言い出したので、私と平岸ママで必死で止めた。こんなもん真面目な人に見せたらショック死する。


 今日は平和な日だ。特にひどいことは(あかねのマンガ以外)起きてない。でも、何も進んでないってことだ。勇気とは話せなかったし、幽霊も出てこなかったからこの問題も何もわからないし、勉強もする気しない。

 結城さんのことはもう考えるのやめよう。

 相手にされてないし。

 早めに寝ようと思ったら突然母からのLINEで、


 妙子スペシャルが映画化されるの!

 しかも新井カントクで!

 これからロケに行くのよ。


 と来た。今までの怪演が認められて予算がどうのとか長い説明も続いていた。

 やばい。キモい妙子が巨大スクリーンなんて怖すぎる。

 スマコンの占いはこのことを言っていたのか?

 怖い!怖すぎる!と叫びながらベッドの上を転がっていたら、バカまで『俺も出演するピョーン』とか言ってきやがった。

 何この夫婦カオス?

 平和な日も台無し。





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