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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年3月

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2017.3.11 土曜日 サキの日記


 3年いなくなって、今日から学校うちらだけじゃん。

 何か思い出に残ることしたくね?


 というLINEが、なぜか夜中の3時27分に来た。夜中に起きて突然ひらめいたらしい。その後に『校舎をピンク色にデコる』『大きな時計にスワロつけてキラキラにする』などの、あまりやってほしくない案が並んでいた。

 ただでさえ悩んで眠れないのに!佐加め!

 朝の4時からコーヒーを飲む。静かだ。修平もヨギナミも寝てる。まともな人はこんな時間に起きない(カッパがまともかどうかは別として)。

 しかも今日数学の補習。佐加のせいで眠くてカクッとなって先生に怒られた。原因の佐加はぜんぜん眠くなさそうで、補習終わってからも『廊下をデコるのにラインストーンがどれくらい必要か』とか、イマジネーションをやばい方向に暴走させまくっていた。奈良崎は笑って聞いてるだけ。


 午後、カフェで勇気に会ったけど、私とはほとんど話さずにスマホばっか見てた。カフェの新メニューにパンケーキを、それもきれいにデコって見栄えするようなものが作れないかと考えているらしいが、たぶん松井マスターは嫌がってる(たぶん勇気も自分で作る気はないんじゃないかと思う。コーヒーはよくいれてるけど、調理をしているのを見たのはパフェの新作を作ろうとした時くらいだ)。

 よそよそしい空気に耐えられなくなり、私はすぐに平岸家に戻った。

 悪いのは私だ。キスの後に走って逃げた。

 好きでもないのに付き合ったのが原因だ。

 

 夕食の後ぼーっと考えていた。キスをしたのが結城さんだったらよかったのに。想像しただけで体がぶわって熱くなる。また奈々子が『そういうこと考えるのやめなよ』と言いに来るかと思ったけど、今日は出てこなかった。

 そうだ、幽霊のことも考えないと。最近他のこと忙しくて忘れてた。所長に何があったか聞いてみたけど『特に何もないよ』としか返ってこない。前はもっと思ってることとか話してくれてたのに。明日また研究所行ってみよう。勇気が嫌がる?どうでもいいんだ。

 そうだ、どうでもよかったんだ。

 私は嫌な奴だ。

 いろんな人を傷つけてる。


 夜眠れなくて悶々として、仕方なくBBCを聴いていたら、佐加がまた、


 体育館にでっかいぬいぐるみ置かね?

 2mくらいあるやつ。


 とか言ってきた。校舎デコ妄想はまだ暴走していた。

 誰かなんとかして!




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