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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年12月

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2016.12.10 土曜日 サキの日記

 天気が悪すぎて一日中外に出られなかった。積もった雪の量が15年ぶりに多いとか言っていた。食事しに平岸家に行くと、必ず平岸パパが雪かきをしていた。それくらいずっと降っていた。

 外を歩けないと落ち着かない。部屋で本を読む予定だったけど、一時間くらいで飽きて動画見たりしてたら昼になった。

 図書室で借りたチクセントミハイの『クリエイティヴィティ』を読んで午後を過ごした。これを出版されてすぐ注文する伊藤ちゃんてかなり洋書とか外国の自己啓発読んでると思う。何を目指してるんだろう?世界一の図書委員長とか?(でも、外国で『図書委員』なんてものがある国、あるんだろうか?日本特有の文化なんじゃないかな、学校の委員会って)。

 この本にこういう箇所がある。


「もしダイエットや化粧品、お洒落に使われているすべてのエネルギーが他の用途に向けられたなら、世界の材料問題を簡単に解決することができるであろう。しかし、そのほとんどのエネルギーは浪費されている。なぜなら、外見や体重は、個人的特性よりも遺伝的指令に依存しているため、変化を起こすことがより困難だからである。そして、もちろん、私たちのあり方を改善することは、見た目を改善することよりも、はるかに重要なことである」


 日本の女の子が「若さを消費しようとする大人」が作ったJKやアイドル、モデルのイメージに惑わされてファッションやエンタメに使っている時間やお金を、海外のまともな教育を受けている子達は、数学や語学の勉強、ディベートやコミュニケーションの訓練、その他『きちんとした大人になるための技能』を習得するために努力して使っている。歳を重ねた時、大きく差が出るのは当たり前だ。

 日本人はいくつになっても、エンタメを消費するだけの子供。外国の大人はもっとしっかりしていて、自分のやりたいことを『大人らしく』創造している。

 日本社会は女の子を大人にしようとしていない。だから女の子たちも、おばさんと言われるような年齢になるまで、若者のような言葉遣いと態度を保つ。年齢に見合ったきちんとした話し方をする人は、テレビにも動画にも、めったにいない。みんな同じ話し方だ。子供っぽい。


 私は、きちんとした大人になりたい。


 海外へ行くべきだろうか?でも、それだけでいいとも思えない。

 この本自分で買おうかな。でもけっこう高い。

 注の中に『幸福についての執筆がいかに困難か』という文があった。「不幸の方がありふれているから、すべての人が即座に認識できる」と。だからこの地球には、殺人事件の話ばかりあふれているのだろうか。

 幸福な文章。確かに私も書けそうにない。

 そもそも幸福ってなんだっけ。

 そこからしてまだ知らない。

 これって私だけ?それともみんなそう?SNSとかネット見てみたけど、あまりいい答えは出てこない。「自分なりの幸せを探しましょう」とか「気分を良くするための何とか」みたいなのばかり。もうちょっと本質的なものはないかと思ったけど、最後にはまた猫の動画を見て無駄に時間を過ごしてしまった。

 幸福とはなにか。池田晶子の本にあるかな。

 やっぱり哲学なのかな、私の知りたいことって。





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