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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年12月

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2016.12.9 金曜日 サキの日記

 高条がまた第3の4人で集まろうと言い出した。気分が乗らないので、外が吹雪いているのをいいことに『天気がよくなったらね』とかわしておいた。実際、この雪と風の中をカフェまで行くのはつらい。平岸パパに言ったらたぶんあっさり車出されそうだけど。あかねも全くやる気ないみたいだった。

 あかねは今日、昼休みが始まった瞬間に姿を消した。夕食の時に修平から聞いた話だと、男子と一緒に写真室でお弁当食べてたそうだ。そんな部屋が学校にあることを今日初めて知った。昔、学生が多くて世の中がアナログだった頃、写真を現像するのに使われていたそうだ。

 あかねは昨日から頑なにヨギナミを避けていて、夕食にも来なかった。平岸ママがブツブツ言いながら食事を部屋に運んでいた。

 ヨギナミの部屋には今日も佐加が来ていて、大量の雑誌の切り抜きや、ネットから勝手にプリントアウトしたセレブの写真を壁に貼りまくり、ヨギナミの部屋は、彼女らしくないロックでセレブなカオスと化した。私は佐加を止めてヨギナミに、自分の好きなもの貼りなよと言った。

 でも、ヨギナミは、


 好きなものないから、別にいい。


 と言った。


 好きなものがない。

 それは問題ではないのだろうか。


 佐加もそう思ったらしく、


 ホソマユのことは好きなくせに〜!


 とニヤけだし、ヨギナミの顔が真っ赤になった。あれのどこがいいの?と私は真面目に聞いてしまった。ヨギナミは目を泳がせるだけで答えなかった。佐加は、


 理由がないのに好きって本物だよね〜!


 と楽しそうだったが、私は心の底から思った。

『奴はやめとけ』と。


 夕食後部屋で勉強してたら所長から、


 今日雪だけど、元気?


 というLINEが来たので、ヨギナミが引っ越してきたことと、佐加が部屋を勝手にデコったことを伝えた。


 それは悪夢だね。ヨギナミかわいそうに。


 という返事が来た。それでやりとり終わり。

 どうしようかな。明日行ってみようかな。でも私、一人で自分を見つめ直そうと思ってたのに、全然一人で過ごせてないじゃん。

 明日は一人で本でも読もう。決めた。




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