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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年12月

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2016.12.6 火曜日 サキの日記

 体育の着替え中に、『クラスの男子の中で誰がイケメンか』という話題になり、全員が『高条』って答えたのびっくり。私は奈良崎だと思ってた。優しいし背が高いしモデル志望だし。


 顔だけ見たら一人だけ違うんだよね〜。


 と佐加は言った。それから、


 でも一番はもち藤木だけどね〜!


 とデレていた。

 伊藤ちゃんにカッパはどうなのと聞いたら、


 う〜ん、そういうのとは違うかな。


 という答え。スマコンは藤木に第4チャクラのオーラが感じられるとか言って、佐加ににらまれていた。優しいと言いたかったらしい。


 風が強くて雪も降って、また帰るのに苦労した。所長にも会えない。というかしばらく行かないって決めてたんだった。どうしても心が揺らぐ。

 THE RULES OF LOVEを少しづつ読んでるけど、意外と英語の言い回しかわわからなくて苦戦。愛だの恋だのの話だと思ってなめてかかったら意外と真面目で難しかった。私、英語本当はわかってないのかも。


・Relationships aren't about sex.

・Don't stay with someone who doesn't care.


 というのが、本当にその通りだと思った。

 なんで私は、誰にも気を使わないどころか人に危害を加えて傷つけることしかしない男のことを今でも考えずにいられないのだろう?上手く逃げられたことを喜んでいいはずなのに。この心のドロドロしたものは何なんだろう?他に何が起きてもこれのせいで台無しになる。

 高条は悪い奴じゃない。

 わかってる。ちょっと変なだけだ。そして、たぶんカッパが言うとおり、私に興味を持ってる。好きかどうかはわかんないけど。そうだ、高条とか他の男子を警戒してしまうのは、彼らのせいじゃない。

 畠山のせいだ。

 私はいつまで同じことばかり思い出し続けるんだろう。本当に嫌になる。何をどうしたらあの出来事を『乗り越えた』ことになるのかがわからない。単純に、他の男子と付き合えばいいってわけでもないと思うし。

 部屋で悶々とする。散歩しようにも天気が悪い。結城さんに『誕生日はいつですか』と質問してみたけどスルーされてる。所長も何も言ってこない。私はなぜ、こんなに落ち着かないのだろう?

 河合先生には、東京と札幌の私大を受けると言っておいた。『両方受かったらどっちに行く?』と聞かれた。たぶん東京と答えたけど実は迷ってる。畠山やノノバンがいる所には戻りたくない。でも、文章を書くことを考えて、文化的なことを考えるとやはり東京がいいような気がする。

 どうしたらいいんだ。




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