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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年11月

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2016.11.8 火曜日 サキの日記

 風めっちゃ強い。草原を歩くと怖さを感じるほど。授業中も風の音が気になって集中をそがれた。元々眠かったけど、今の席は先生の真ん前なので眠れない。

 体育の授業のとき、ちょっとだけ修平が参加していた。楽しそうだったけど、疲れたのかその後の授業で爆睡して、河合先生に起こされたり、西田に当てられて怒られたりしていた。無理しなきゃいいのに。

 街の人の動向について佐加に聞いたけど『浜に住んでるからよく知らない』と言われた。あかねはこの話題自体に興味なし。ヨギナミは、


 ある程度嫌がらせしてくるだろうとは思ってた。

 レストランにも悪口を言いに来るおばさんとかいたし。


 と言ってたのでびっくりした。店に悪口言いにわざわざ来るなんて陰湿すぎやしないか。佐加も、


 何そのババア!?殺す!


 と怒っていた。


 そして悩ましい進路問題。佐加は私の実家(あれを家と呼んでいいのかは別として)が東京にあるのを羨ましがっている。せっかくいい所に生まれたんだから東京帰るのもいんじゃね?とか言ってくる。ヨギナミは黙ってる。

 一人くらい『え〜!秋倉にいなよ〜!』とか『北海道いい所じゃん』とか言ってくれないかと思っていたのに全然ダメ。所長も昨日私が東京に帰るって言ったら『あ、そう』って感じだったし。

 私は何を求めてるんだろう?

 誰かに『行かないで〜!』とか言ってほしかったんだろうか。それってめっちゃ子供っぽいと思う。


 東京のマンションから通えるところに、行けそうな大学がいくつかあった。案内を送ってもらうことにした。でも、ホームページを見た限りでは、どこも微妙。札幌の大学の方がいいかな。でも札幌の文化度ってどうなんだろう?あまり文化的な話題を聞いたことがない。

 部屋で先生にもらった資料を見てたら、


 ここ、私が行くはずだった大学。


 奈々子の声がした。札幌近郊のある私立大学の案内を見てた時だ。


 当時は、心理学が出来る大学、道内にはそこしかなかったの。今はどこでもやりすぎてる感があるけど。


 私はその大学の説明を見た。確かに心理学の大学院まであって、カウンセラーの資格が取れると書いてある。

 私はその大学を候補から外した。心理学は気になるけど奈々子と同じ進路は嫌だ。たとえ行きたくても行けなかった場所だとしても。

 案内はどこも似たように見えて、そのうち飽きてしまった。気がついたら猫の動画見てた。これはいかんと思ってBBCの英語を見た。あかねが『夕飯!』って叫びに来た時、研究所に行くのを忘れていたことに気がついた。まあいいか。みんなに『行き過ぎ』って言われてるし、所長だって一人でやりたいことがいろいろあるはずだし。



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