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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年10月

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2016.10.26 水曜日 保坂の家


 あの女!倒れて入院したんだって!


 保坂恵が、友人と楽しそうに通話していた。


 いい気味!話せる状態じゃないから裁判はやめろって平岸のハゲ親父が言ってきたけど、このくらいで済むわけないでしょ?

 死ぬまで追い詰めてやるつもり。当たり前じゃない!


 その隣を、息子の秀人が苦々しい表情で通り過ぎていった。絶対起きてほしくないことが起きてしまった。

 外に出ると、ガレージで父、典人が車を磨いていた。いつの間に帰って来たのだろう?無精ヒゲを生やしていたが、機嫌が良さそうだ。鼻歌が聞こえる。


 帰ってたのか。


 秀人が話しかけると、


 おうひで、喜べ、離婚はやめたぞ。


 と、典人が言った。


 危なかった。

 危うく病人の介護をさせられる所だった。


 典人が言った。秀人は耳を疑った。


 一緒に温泉に行った時に気づいたんだよ。

 あいつは自力で何も出来ないくらい弱ってるってな。

 そのくせ言うことだけは一人前に生意気だ。

 もうお前とは付き合いたくないだと!

 何を言ってやがる。

 誰が介護が必要なバアさんを女だと思うかってんだよ。

 ハハハッ!

 それに──。


 ちょっと待て。


 秀人が口を挟んだ。


 母さんがその奥さんを訴えてんのは知ってる?


 知ってるよ。


 止めろよ!


 秀人が叫んだ。典人は怪訝な横目でちらっと秀人を見た。


 秀、お前はまだ若いからわからんかもしれないがな、

 大人の世界には法律っちゅうもんがあるんだよ。

 恵は法に則って自分の権利を主張してるだけだ。

 なんで俺が止めなきゃいけないんだ?

 そんなめんどくさいことに俺を巻き込むな──。


 秀人が典人の横っ面を思い切り殴り倒した。典人はガレージの奥まで飛ばされて倒れた。


 お前ら最悪だな!

 人間じゃねえ!人間じゃねえよ!


 秀人は叫び、どこかに走り去った。



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