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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年7月

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2016.7.7 木曜日 サキの日記

 学校祭を18日に控え、私達は今日から校内の飾りつけを行うことになった。しかし、『カフェ風の内装にしたい』高条、藤木と、『とにかく派手にかわいくしたい』佐加、あかねが対立し、双方が好き勝手に色画用紙や装飾グッズを用意していたため、教室は『幼稚園児のお誕生会をしている昭和風のカフェ』という名のカオスと化した。

 

 この教室で18日まで授業を受けるのか、僕達は……。


 別なパネル展の準備でいなかった杉浦が、教室に戻ったとたんつぶやいた。英語の西田とかがこの教室見たら何て言うだろう?佐加はどこからか持ってきたピンクのクマちゃんを余った椅子に起いた。高条は西洋風のCDジャケットみたいなポスターを教室横の掲示板に貼りつけた。しかし、佐加がそのポスターに写っているジャズミュージシャンの頭に折り紙の手裏剣をくっつけたため言い合いになり、ポスターは結局撤去され、ヨギナミが作った手書きのメニュー表に取り替えられた。カレーライス、ビーフシチュー、サンドイッチ、コーヒー、秋倉レモンと書いてあり、スイーツはまだ私達のグループが決めてなかったので空欄になっていた。

 

 土曜日にママが候補の試食会うちでやるって。

 あたしはアイスでも出せば?って言ったわよ。


 あかねがやっぱり機嫌悪そうに言った。うちのグループと、第1グループが平岸家に集まることになった。楽しみなような心配なような。


 俺、そろそろピアノ教室だから帰るべ。


 2時半ごろ、保坂がそう言って教室を出た。のどかにタコのモニュメントを作っていた第2グループは、もうほとんど準備が終わっているのか、早めに帰っていった。


 ピアノ教室……ウフフフフ。


 あかねの口から、いつもの猥雑な笑いが漏れた。


 ある日、ピアノの音に魅了された少年。ピアニストの美青年に出会いレッスンを受けることになるも、いつしかピアノだけではなく肉体にも夢中になり、官能の二重奏に堕ちていくのよ……ウフフフフ。


 翻訳:『ピアノ教室』で妄想してみたわ。


 佐加が『やだ〜やらし〜!!』と叫び、杉浦は『あかねさん、君は一度、脳の検査を受けたほうがいい』と真面目に言った。藤木と高条、修平は無反応。ヨギナミはただただ苦笑いしていた。私は、似たような話の映画が昔あったような気がすると思ったけど口には出せず、佐加が折り紙で鎖を作っているのを手伝った。


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