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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2015年10月

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2015.10.2-2 サキの日記


 公園までは思ったよりも時間がかかった。歩き疲れて頭がぼんやりしてきたので、ソフトクリームを買ってベンチで休んでたら、茂みの後ろから誰かがこちらを見ていた。気がついた瞬間に逃げていったからよく見えなかったけど、スーツを着たおじさんだと思う。気味が悪いので、公園の反対側の出口まで歩き、地下鉄に乗って、古本屋で時間を潰して帰った。

 私の行くところは、本屋しかないのだ。それも、最近はスマホでダウンロードすることが多いし、特定の本を買うならアマゾンのほうがすぐ見つかるし、安い。それでも本屋に行くのは、本を探しに行くと言うより、暇潰し、あるいは、恋の相手を探しに夜の店に行くように、見知らぬ相手(本)との出会いを期待して行く。全く知らない作家や想像もしなかった世界を、私はそうやって見つけてきた(たとえば、インドの家電量販店の女性店員の物語とか。アマゾンで『偶然』それを見つけるのは難しいはず)

 今日はいい出会いはなかった。海外のローズガーデンの写真集に少し惹かれたくらいで。

 今日はあまり運がよくない日なのかもしれない。

 家に帰ったら、私が床に散らかしていたものが、全てあるべき場所に収まっていた。シーツも服もばっちり洗って収納されていた。ぬいぐるみはさすがに洗濯されなかったみたいだけど。


 スマホには特に連絡はない。バカはもう札幌でカントクたちと合流してるはず。やっぱりついていくべきだったかもしれない。

 やることがない。

 パジャマに着替えて、洗濯されたばかりのシーツに寝転んだ。ほのかにいい香りがする。たぶんまた、数日は寝込むだろうと思った。せっかく掃除された家の中も、数日でまた元に戻るだろうな、とも。





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