2016.5.14 土曜日 サキの日記
平岸家と、今回は高谷も連れて、別な町のショッピングモールに行った。今日は前ほどは混んでいなかったけど、やっぱり暇な人がみんな来ちゃった感じがする程度には人が多かった。私は所長に何か買って行ってあげようと思ったんだけど、何か手に取るといちいち高谷が「それ久方にあげるの?」「やっぱり彼氏なの?」「俺にもこれ買ってくれない?」とからんでくるので本当にウザくて、途中でキレで雑貨屋に置いて一人でフードコートに行ってポテトをやけ食いしていたらいつのまにかうしろにあかねがいて、
太るわよ。
と言いながら私のポテトを奪い取り、半分以上食べた。平岸夫妻はどこに行ったのかと聞いたら、枕が欲しいとか言ってたから家具でも見てんじゃないのと不愛想。またケンカでもしたのか。最近あかねと話していなかったので、今もマンガ書いてるのと聞いたら、今月末締め切りの賞に応募するものを描いてるから忙しいそうだ。それってやっぱりBL?って聞いたら、当たり前でしょと言われた。当たり前なんですか……。
出来上がったら見せてあげるから感想を聞かせて。
私はマンガの話題を出したことを後悔し始めた。もう『私マンガ嫌いだから読まないんだよね』とは、怖くて言えない。
あんたと久方さんって、どんな関係なの?
またからかわれてると思ったら、あかねは無表情で飲み物のストローをいじっていた。
私、わからないんだよね。見た目は子供みたいだけどあの人大人の男でしょ、で、あんたは女子高生で、去年の夏からずっと仲良しでしょ?それで恋愛感情とかわかないもん?
恋愛感情どころか、所長を男だと思ったことがそもそもないと答えたら、
それ、失礼じゃない?
と言われた。私は何が失礼なのかわからなかった。
ところで、あの助手はあそこでピアノを弾く以外に何をしてるの?
あかねの顔がにやけ始めた。ああ、またBLネタを求め始めたなあ。私は幽霊の話はせずに、世話をするためにあそこにいるらしいけど、所長一人でも暮らせないことはないと思うんだよね、と、適当に刺激するようなことを言っておいた。
きっと本当は好意があるのよ。だから必要ないのに近くにいようとするのよ。
あかねが乗ってきたところで平岸夫妻と高谷がフードコートにやってきた。枕は買わなかったようだ。それとも送ってもらったのか。みんなでレストラン街に移動し、今回は全員で同じファミリーレストランで食事をして帰った。高谷のせいで所長へのお土産を買い忘れてしまった。




