表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年4月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

306/1131

2016.4.27 サキの日記

 音楽のテストで歌えと言われたところまでは覚えてる。でも、そのあと頭がぼんやりして、結局調子が戻らなくて学校は早退した。何も歌った記憶がないのに、ぼーっとして気が付いたら『素晴らしい!』って先生が手を叩いていて、杉浦からよくわかんない題名の歌を歌っていたと聞かされた。気が進まないけど修平に私何歌ったっけ?と聞いたら『なんかアリアってやつ』とまるで覚えられてなかった。杉浦に確認するとオペラ好きを刺激してしまいそうで怖い。きっと先に杉浦が異様に本格的な声でオペラっぽい曲を歌ったから、それが原因で頭がぼーっとしてるのかもしれない。ていうか、杉浦って何者なんだろう……?

 所長に『歌った覚えがないけどいつのまにか歌ってたらしい』とメールで伝えたら、『心配だからそういうことがまたあったら教えて』と返信が来た。夕方、まだぼんやりするからと夕食を遠慮していたら、高谷がドアをノックして『食べたいものがあったら持ってくるから言えよ~』と言った。無視しちゃったけど意外と優しいんだなと思った。7時頃に平岸ママがおかゆと大根の漬物をお盆に載せて部屋に来た。どうしたら平岸ママみたいになれるんでしょうねとなんとなく聞いたら、


 まあうれしい!あかねなんて『ママみたいな女には絶対になりたくない』って言うのに。


 本当に嬉しそうに出て行った。単純なようだけど、大人の余裕も感じた。うちの40代の娘にはあまりそういうところがない。『ママみたいになりたくない』なんてうっかり口にしたらすごく傷ついて仕事に支障が出てマネージャーから私に文句が来そう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ