2016.4.19 火曜日 ヨギナミの家
夜中、ヨギナミはもう寝ようかなと思いながら、杉浦から借りた本と時計を交互に見ていた。すると外から足音が聞こえた。予想通り、小さなおっさんがやってきた。横になっていた母が起きた。おっさんは浮かない顔をしていた。
こないだ、古い友人に会った。
意外な話が始まった。研究所に突然高校生が訪ねてきた。そいつに学生時代の親友が幽霊みたいにとりついていた。理由を知りたくて訪ねてきたんだろうが俺にもわからない。
その学生ってどんな人?とヨギナミが聞いたら『高谷って知ってるか?』と言われて驚いた。同じクラスだと答えたらおっさんは呻きながら頭を抱えた。
それはまずいんだよ。つまり新橋早紀も同じクラスってことだろ?俺のことをバラされたら創が傷つくんだよ。創が自分で話せるまで黙っててほしいんだが、あいつにそれが可能か?今すぐにでもこうなった原因を知りたいって様子をしてたんだぞ。
ヨギナミはわからないと答えた。母親は何も言わなかった。オッサンはそのあと、ぼーっと考え事をしているのか、だまって座り込んだ後、急に立ち上がって無言で帰っていった。
いろんなことがあるものね。
母親は小声でつぶやいてから、いつもどおり布団にもぐって寝てしまった。ヨギナミはちょっと迷ってから、佐加にメールで今日聞いたことを知らせた。




