表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年4月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

286/1131

2016.4.14 木曜日 研究所

 頭痛なんて嘘だ。しかし、頭痛より頭の痛い問題が久方を襲っていた。早紀のクラスメートと別人がまた接触した。きっとあの二人は早紀に別人に会った話をしてしまっただろう。それもあくまで『久方創』の話として。自分には何をしていたか全く記憶がないのに。

 本来なら楽しみな早紀の訪問が、今日は怖かった。早紀は三時半ごろにやって来て、6時間連続授業は辛いとぼやいた。


 丸一日ボーっとしているようなものです。考え事には良いかもしれません。当てられなければ。でも別の問題と同時にあまり深いことは考えられませんね。日本に考える人が少ないって書いてる哲学者がいましたが、あれ、学校の授業が長すぎるか受け身すぎるからっていうのもあるんじゃないですか。授業終わったのにまだ体が固まってる感じがします。体に良くないです。


 早紀は授業について自論を述べた後、


 保坂と何かあったんですか。


 と聞いてきた。久方は正直に覚えていないと言った。保坂君は何か言ってた?と探りを入れてみたら、


 困ってるところを助けてもらったと言ってましたけど。


 早紀はそれしか言わなかった。何かに気づいたのか、それとも何も知らないのか。

 久方は落ち着かなかった。まだ頭痛がするのかと聞かれたので、良い言い訳ができたと思って話を終わろうとしたら、


 あ~!所長!あ!サキもいるじゃん!!


 窓から悪魔、いや、佐加美月が現れた。久方は早紀のマグカップを奪って窓に向かって投げつけ……るところを想像した。その間に早紀は窓を開けてしまった。佐加はなんと、窓から中に入ってきた。


 所長さ~一緒にゲーセン行かね?町のおっさんにも会えるしさ~。ここにばっかいないで外出ようぜ~!!


 気軽に言ってくれちゃって……久方は何も言わずに少しずつ後退し、気が付いたら廊下にいた。早紀が『昨日から頭痛がするって』と話しているのが聞こえた。それを合図に2階に駆け上がり、日が落ちてから人の気配がなくなったのを助手に確認してもらうまで、久方は部屋から一歩も出なかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ