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2016.4.12 火曜日 研究所
久方はソファーで目を覚ました。次の日になっていた。スマホの日付を見て気づいた。思わすその上に頭を伏せてぶつけた。そのまま横に倒れて永遠に目覚めたくないと思った。時刻は朝六時、助手がまた派手な曲をガンガン頭上から落としてくる。今日こそ文句を言わねばと思ったらピアノが止まり、足音が聞こえてきた、助手は部屋にやってくるなり、
きのうどこに行ってた?
と無表情で尋ねた。何も覚えていなかった。財布と持ち物を点検したら、お金が千円減っていた。
別に慌てなくてもそのうち町の誰かが教えてくれるって。
助手はのんきにテレビを見始めた。何か言ってきてからでは遅い!と久方はわめいてやりたかったのだが、やめて、早紀が来たかどうか聞いてみた。『来たけどお前がいなかったからすぐ帰った』と。今日は来るだろうか。
学生は忙しいから毎日は来ないだろ。
見透かしたように、助手がテレビから目を離さずにつぶやいた。




