2016.3.1 サキの日記
3月になってしまった。
月末には秋倉での生活が始まる。
でも私は今、同じグループになることが決まっている二人について既に悩んでいる。今日は両方とやりとりしたけど、うまくやっていく自信が一気になくなってしまった。
まず、平岸あかね。
カフェの無口なイケメンに、
病弱でおしゃべりな転校生の少年なのよ?
わかるでしょ?
ウフフフフ。
えっ?何よ。
サキだって、美形の助手と所長のところに通って、
3人で戯れる予定でしょ?
はい?訴える?
なにヨ。アタシは事実を言っただけでしょ。
悪いけど人の夢を壊さないでくれる?
誰が反対しようと無駄ヨ。
こんな恵まれた環境にいて創作しないなんて、
そんな罪深いことできるわけないじゃないのヨ。
ウフフフフ。
何が罪深いのか、聞いているうちによくわからなくなってきた。
もう一人。
あのナンパ男子、高谷修平からまたメールが来た。無視しようかと思ったけど、気になることが書いてあったから読んでしまった。
平岸家に行ったとき、近くの廃墟で怖い金髪メガネに会ったんだけど、誰か知らない?
俺、あそこに住んでる人知ってる。怪しい人だよね。
たぶん金髪は助手だと思うけど、『怪しい』って何だろうと思ったから、所長を知ってるのか聞いてみたら、
へー、所長なの?
あんな廃墟に二人しかいないのに?
引っかけられた。
しかもバカにしてるような感じがするので、それ以上は返事しなかったし、向こうからも来なかった。
何なのこいつ。
4月から隣かと思うと急に不快になってきた。しかもあかねからまた妄想メールが来て『伝説の図書委員長と図書室はどう?』と書いてあって、ますます気味が悪くなってきた。
しかも秋倉の河合先生から、
図書室はもう利用できるよ。
委員長が貸し出しカードを作ってくれたから
というメールまで来た。
タイミング悪すぎです!先生!
心配だ。
いろんなことが心配。
残る一人のイケメンからはメール来ないし。




