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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年2月

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2016.2.16 ヨギナミの家


 母は帰ってこない。

 知ってか知らずか、おっさんも出現しない。たまに来る佐加もそれが気になるらしい。



 ねー、どうする?

 人の体に取りついてるときに恋しちゃったらさー、キスだけでもまずいよね、所長的にさー。



 とんでもないことを言ったと思ったら、次には藤木にチョコあげたけど反応が薄いとか、カーラ・デルウィーニュがどうとか、



 テイラーとケイティってほんとに仲悪いのかなー?ヨギナミどっちがいい?うちが二人と仲良しだったら説得して仲直りさせるなー。うち得意だもんそういうの。あかねはまた助手を探して研究所覗き見してるらしーよ。そのうち捕まったら面白くね?



 話題はあちこちに飛んでいき、バスの時間が近づくと慌てて帰っていく。



 今日は誰も来なさそうだ。最近食事が乱れたせいか、だるくなってきていたので、ヨギナミは久しぶりに炊飯器を使い、ホウレン草を茹で、わかめの味噌汁を作り、サンマを焼いていた。

 表面が焼けた頃、誰かが裏の戸を叩いた。



 お母さん、帰ってきた?



 それは保坂秀人だった。慌てて走ってきたようだ。帰ってないとヨギナミが答えると、3秒ほど動きを止めた後、弾かれたように走り去った。



 何だろ、今の……。



 サンマの前に戻ってひっくり返し、じーっと焼き上がるのを見ながら考えていると、今度は携帯にかかってきた。奈良崎だ。



 お母さん帰ってきた?来てない?やべえ、あ、いや、保坂の父ちゃん帰ってきて、今夫婦で派手にやらかしてるってエリカが、あ?保坂来たの?いつ?あー俺探してみるわ。ヨギナミは気にしなくていいから。



 返事をする間もなく通話は切られた。何か起きているようだ。保坂はもしかしたら今日、居場所がないのかもしれない。サンマは少し焦げていた。保坂を引き止めて、ご飯でも一緒に食べたほうがよかったんだろうかとヨギナミは思ったが、それも誤解を招きそうだ。

 母はどこに行ったのだろう?

 自分の行いがまわりにかけている迷惑を、少しは考えないのだろうか。


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