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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2016年1月

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2016.1.29 サキの日記


 塾に何でも手作りする子がいて、ニードルフエルトの体験に誘われた。


 結果:私に手作りは向いてない。潔く買おう。


 練習で作ったボールはいくら刺しても毛が飛んでフワフワというよりボワボワに近く、本番でハートを作ろうとした結果、指を刺して見事にハートブロークンした。

 私を誘った子は、本物そっくりの三毛猫を作成中。

 習って練習し続ければ何か作れるのかもしれないけど、そこまで毛玉に情熱を持てない。

 この不完全なフェルトボールどうしようかなあ。

 しばらくおいとくけど、いつか燃えるごみに入りそうな予感。

 前もさわのんに、ビーズアクセサリー作りを勧められたりしたなあ。衣装に使うって言うから手伝ったのに、実はさわのん自身の私物だった。毛玉が崩壊しないから、作るならビーズのほうがましかもしれない。


 でも、私には手作りは向かない。

 売ってるものは買おう。

 ハートブロークンなものを作り出さないために。


 私は考えたり書いたりするほうが、何か『モノつくり』するより向いてる。


 女の子が手作りしたがるのはなぜだろう。手作りキットって、下手すると出来上がったものより高い。体験を売っているのかもしれない。それか『手作り』って響きが女性らしいとか。なんかやな感じ。真面目に仕事や子育てしてる人が『手作り』に何時間も費やすのは無理じゃない?結局、女性のほうが働き口がなくて暇なんだとしたら、これは社会の、雇用の問題じゃない……?


 こういうネガティブな方向の連想は良くないそうだ。仏教系の本数冊に書いてあった。


 さんざんな出来だったことを除けば、体験教室は面白かった。

 自分が何したいかまだわからないけど、とりあえず手作りじゃないことはわかったし。




 劇団の子持ちのおばさまが、息子が妙子の真似をしてクローゼットから飛び出してきて困っているらしい。

 別な劇団員からは、自分がクローゼットに潜んで妻を脅かそうとしたら、全く驚いてくれず、無表情で扉を閉められたという話を聞いた。内側からは開かない構造ですごく困ったそうだ。

 妙子は各方面に悪影響を与えている。その報告をいちいち受けるのは私なんである。

 来週は見忘れたことにしよう。別な予定を入れるとか。本に没頭するとか。


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