2016.1.14 ヨギナミの家
佐加が遊びに来た。自分で作った服や帽子、アクセサリーをたくさん抱えて。ヨギナミは自分ではめったに服を買えないから、すっかり佐加ブランド『I'm THE GIRL』の広告塔にされている。ファッションに関しては佐加は真剣だ。ただ、作るものが奇抜で、華やかな色やキラキラしたビジューが多すぎるのが、普段着しか欲しくないヨギナミには難点だったりする。
平岸家に来る奴がさー、例の女の子なんだってー。所長の。
佐加は来る途中でその子の話を聞くために研究所に行ったが、
いつも窓んとこにいるのに今日いなくてさー、玄関行ったら鍵空いてて、すげー怖いピアノの音が聴こえてさー、電気は消えてるし、所長はソファーで寝てたけど、声かけても全然起きないし、怖いからすぐ飛び出しちゃったけど、なんか変じゃね?カギ開けたまま爆睡って危なくね?実は死んでたりしないよね?うちもっかい見てきたほうがいいかなー?
ヨギナミは、そっとしておいたほうがいいよと言った。本当は心配だったが、最近なんとなく、あの建物には近寄りずらい。
平岸パパが言ってたけどさー、4月に来る奴他にもいんだって!男子もいんだって!おもしろくね?どういじってやろうかなー。あかねは新入り同士でくっつけたいみたいだけどさー。でもこないだはさー、松井カフェの高条をネタにマンガ書くって言ってたんだよね。ヨギナミ知ってる?保坂と奈良崎がさー、秋小んときに高条と一緒にカフェの冷蔵庫のもん盗み食いして前のマスターに……。
佐加が話している間、ヨギナミは、確実に『あかねと佐加にいじられる』転校生を哀れみながら思っていた。
所長と仲がいいあの新橋という子は、
目付きの悪い方の存在を知っているのだろうかと。




