2016.1.5 サキの日記
新千歳空港での待ち時間に、私はうちのバカにメールしてみた。
隠し子がいたら今のうちに白状しなさいと。
秋倉で自分に似すぎてる人に会ったことも書いといた。それが所長だとははっきり伝えなかったけど。私はあんなに純粋じゃないし。
うちに着いた頃に返事が来た。
俺が知ってる限りではいないなあ。由希にも聞いた?案外怪しいぞ、なんせ高校の時から、砂糖菓子に群がるアリのごとく男が寄って来てたからなあ。
まあ、世の中には似たやつが3人いるって言うから、そのうちの一人じゃない?
ただ、楽屋で寝てる俺を美女が襲って、いつのまにか子作りされてた可能性はないでもない。これでも若い頃はよく、女優志望の女に襲われたもんだ……。
後半に嘘くさい女性遍歴が長々と書いてあったので、即削除。
母が……ってことは、ないと思うけど。でもあの人、私を産んだことも覚えているか怪しいからなあ。
明日塾だからって帰ってきてしまったけど、絶対行かなきゃいけない訳じゃないし。
もっと長く秋倉にいるべきだったんじゃないかと、なぜか、変に落ち着かなくて、今日はこんな時間まで何も手につかなかった。
どうしてこんなに心配なんだろう?
所長は大人なのに。
一応、平岸パパとあかねと所長に『無事に着いた』メールしたけど、まだ返事は来てない。単なる報告だから、返事する必要も感じないのかもしれない。
とにかく、4月から秋倉高校に行くことは決まったから、それまでは勉強しながらいろいろ準備しないと……と思いながら、物が散乱してカオス状態の部屋を見回してたら、急にやる気なくなってきた。
今日はもう寝よう。
秋倉では11時とかに普通に寝てたのに、帰ってきたとたん、今も日付変わるまで起きちゃってるし。




