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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2015年12月

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2015.12.23 サキの日記


 ラメグリッターのスノーフレークが、クリスマス用品売り場に並んでいた。これで壁一面を埋め尽くしたらおもしろいと思って、あるだけ買い占めてきた。両面テープとピンも念のため。

 ついでに本屋に入り浸って、昔のDVDが260円だったから『心の旅路』を買った。所長と一緒に見た映画のうちの一つ。前は500円だった気がする。最近は下手すると『カサブランカ』が100均で売ってたりする。著作権切れたのか知らないけど、いい映画にそんな値段がついているのは、買う方は助かるけど、少しかわいそうな気もする。出演者もスタッフも亡くなっていて、今いくら世界中で売れて絶賛されても、その人たちが恩恵を受けることはないから。

 あかねの『所長と助手がラブラブ妄想』を打破すべく、わたしは『所長の好きな人は女の人だと思う』とメール送ったら、



 まだわかんないでしょ!

 それとも、それってあんたのこと?

 別な女の影に嫉妬してるのネ……ウフフフフ。



 別な妄想に油を注いでしまった。




 スノーフレークは、全然足りなかった。ダイニングの空いてる壁の中心2メートルくらいを辛うじて覆っただけ。でもラメだし、十分ギラギラで目に悪い。バカが帰ってきてこのラメ壁を見たらどうリアクションするか、せいぜい芸の才能を試してやることにした。



 おぉ!!何だ!何だこれは!



 バカは壁を見るなりいつも通り叫んだ。

 はい、リアクション失格。

 私が部屋散らかしたときと変わんないじゃんと文句を言ったら、いいからこれを背景に写真撮らせろ、しかもそのニットはダメだ、もっとこれに合わせてシャイニーなやつをと、よりによって消防服のような銀色の衣装を持ってきやがった。


 私は家族サービスのつもりで、しかたなくノリノリでそれを着て記念撮影した。まるで変顔の宇宙人親子。

 これを見た人はまた、金持ちの頭からっぽのバカのバカ娘とか文句言うんだろうな。別にいつものことだけど。


 いくら慣れてても、やっぱり誤解されるのは悲しい。


 バカは写真を母に送り、たいそう喜ばれたそうである。

 が、いいんだろうか。

 父と娘が仲良くしていて、自分だけそこに写ってないということに、何も疑問を感じないのかな。

 感じないんだろうな。

 思えば、よその家では、逆に父親が忙しくて帰らず、母と子供しか写真に写ってなくて、『おたく、母子家庭?』と聞きたくなったりするから。

 帰ってこない親って、

 いくら稼いでいても、心理的にいないも同じな気がする。


 もしかしたら、日本のほとんどの家は、

 心理的母子家庭なのかもしれない。


 うちは逆だけど。

 存在しないと見なされてる帰らないほうが何を思っているのか、私にはわからない。

 べつにどうでもいいわ。

 明日はカントクたちとクリスマスだし!!

 さわのんに渡すプレゼントを買い忘れた。慌ててチョコレートを買いに行き、スーパーに寄ってチロルチョコも大量に買い足した。バカを含めたおじさん達にはこれを投げれば十分だ。みんなモノより、触れあいと芸のネタを求めているから。




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