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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2018年2月

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2018.2.6 火曜日 河合先生への日誌 与儀奈美

 学校、休校でしたね。

 朝起きたら玄関がほぼ埋まっていてびっくりしました。見たことがない高さまで雪が積もっていました。なんとかスコップで道を切り開いて、平岸パパが作ってくれた通りの道とつなげました。

 佐加がもうすぐ制服が着れなくなるとよく言います。高校生活ももうすぐ終わりです。4月からは違う町で生活することになります。秋倉ともお別れです。

 この町でいろんなことがありました。私はずっと母の世話をしながらバイトしていて、町の人は冷たかったけど、平岸家の人や佐加がずっと助けてくれていて、なんとか乗り切ることができました。おっさんもいたし。

 母が亡くなったのが残念なのか、私にはわかりません。冷たいようだけど、あの人は早めに命を終える宿命だったのではないかと思うのです。とても一人で世の中を渡っていけるような人ではなかったから。いつも誰かに頼っていて。生活は私に、心は最初はあの男、後半はおっさんに。

 おっさんがうちに現れたのも不思議です。孤独な人どうしが引き合ったんじゃないかって言う人もいるけど、私はなんとなく違うと思いました。あの2人あんまり似てないし。たぶん偶然なんだと思います。ただの偶然だから、奇跡なんだと思います。

 高校生活で残念だったのは、あまり勉強できなかったことです。バイトしてる時に、普通の子はこの時間を勉強に使えるのになと思って悲しくなったことがあります。学校の勉強だけでなく、何か好きなこと、興味のあることの勉強を。私には趣味も特技もありません。生活に追われて、気がついたら何もできるようにならないまま高校生活が終わってしまった。そこがすごく悔やまれます。

 でも、秋倉高校にはいい思い出がいっぱいです。修学旅行もみんなのおかげで行けたし、佐加やサキ達と話すのは楽しかった。卒業してみんなに会えなくなるのは悲しいです。でも、みんなすごい人達だから、これからもうまくやっていくでしょう。

 先生にもお世話になりました。

 ありがとうございました。



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