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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2015年11月

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2015.11.28 サキの日記


 人に相談しなくなった人とか、話をしなくなった人は、好きで『しない』のではなくて『できない』んだと思う。

 何を相談しても『お前が悪い』『そのくらい我慢しろ』『だから何』あるいは話をそらされて無視……そういう体験を何年も積み重ねて、同じ結論に達したんだと思う。


『私が何を話しても誰も聞いてないから、話すのはもうやめよう』


 しかもそれは意識的にそうしたのではなくて、無意識に、体か語るのをやめるような感じだ。自分は話したいと思ってるはずなのに、言葉が出てこない。発声をする器官自体が警戒して動きを止めてるような感じ……なんか、うまい表現が出てこないけど、とにかく、言葉が出てこない。




 良くないことなのはわかってるから。

 今、危険な場所から離れて、少しづつ話をするようにしてるの。

 うまく話せないし、内容おもしろくないから反応薄いけど……。



 塾で一緒だった子とそんな話をした。私は話す代わりに書いている。書いたり、話したりして初めてわかることってあるよねとそんな話をしてた。

 今日は数学で、あまりにもできなくて泣きそうだった。とりあえず問題の答え覚えたら、と言われた。



 さっき所長に電話したら、別な人が出た。たぶん助手だと思う。『あいつ今出られないから』で切られた。スマホを置いてどこかに行ってしまったらしい。草原のあたりは圏外になることもあるから、持ち歩いていないのかもしれない。



 母から、週末帰るよとメールが来てた。





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