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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2018年1月

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2018.1.30 火曜日 サキの日記

 杉浦塾でずっと勉強してた。

 リオがニューヨークのことをいろいろインスタに載せてたので、佐加に紹介してあげた。佐加もニューヨークに行きたがっているし、この2人は相性よさそうだと思って。

 最近佐加は連絡して来なくなっていた。こっちが受験だから気を使っているのか、こないだのことをまだ気にしているのか。

 杉浦と保坂と伊藤ちゃんが1年生の頃の話してた。早朝に雪合戦してみんな遅刻して河合先生に1時間くらい説教されたことがあるそうだ。知らない話なので入っていけなくて悲しかった。私も1年の時かるここに来ればよかった。そしたら、あの事件も起きなかったのに。でも仕方ない。あの頃はそもそもこの町の存在もよく知らなかったから。


 もうすぐ終わっちゃうんだねえ、高校生活。


 伊藤ちゃんがつぶやいて遠くを見た。


 なんか、自由時間が終わりを告げる気がするべ。


 保坂が言った。


 何を言っているのかね。大学は自由な所じゃないか。なまじ校則が厳しい高校よりずっと自由で、そのことに戸惑う生徒も多いと聞くよ。


 杉浦が言った。


 大学って、自由になるために行く所だよね?


 私はなんとなく言っただけなのだが、なぜかみんな『おー!』と大げさに驚いて『いやいや、そのとおりだよ!』とか言って喜んでた。

 大学に限らず、教育というのは全て、自由になるためにあるものだ。学校に行けない子どもは、将来の自由を奪われている。

 学校に行くのが当たり前になっている私達は、このことをよく忘れてしまう。自分達が自由気ままにふるまったりしゃべったり文章を書いたりできるのは、基本的な教育を受けられてるからだって。それが手に入らない人が(特に女性は)世界にはたくさんいるんだって。

 大学に行けるなんて私達は恵まれすぎている。

 たとえそこが三流大だろうと関係ない。

 なんかうずうずしてきた。早く大学に行って何かやりたい!

 ここを飛び出して自由になりたい!

 

 まず、大学に受からないとね──。





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