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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年12月

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2017.12.19 火曜日 サキの日記

 今日はみんながうるさくて疲れた。佐加は朝からずーっとクリスマスパーティーの話しまくるし、杉浦は『君のライフプランはどうなっているのかね』とかウザいこと聞いてくるし、伊藤ちゃんに『最近本読んでないでしょ』となぜか恋愛小説のリストを見せられるし(全く興味ない)、ホンナラ組は近々冬季サバイバルゲームの集まりがあるとかで、戦いのマネして騒いでたし、勇気はヨギナミに話しかけて避けられてる。いつも静かな藤木まで『最近の美月おかしくないか?』と聞かれた。別に何もないと思うけど。

 疲れたから帰りからは一人で過ごそうと思ってたけど、佐加はずっとついてきて、クリスマスツリーの飾りを藤木と買いに行った話してた。なんかすごく費用がかかってそうなので、みんなに少しずつ出してもらった方がいいんじゃないかと言ってみたら、


 うちが好きでやってるだけだから別にいい。


 と。確かに何かおかしいかもしれないとちょっと思った。でも、何かあったの?と聞いても『何が?』と言われて終わり。

 受験や卒業が近くて、みんなそわそわしているのかな。

 このクラスとももうすぐお別れ。しかも全員が町から出る(藤木は実家継ぐらしいけど、元々町外の人だし)。バラバラになってしまって、LINEでは連絡できても、全員集まって会うことなんてめったになくなるだろう。

 わかっているけど、まだ全然実感がわかない。


 佐加よりもっと張り切っているのが平岸ママ。今からもう巨大なクリスマスケーキの準備をしてる。設計図まで書いていた。それを見た平岸パパが『車で運べる大きさにしてくれよォ』と弱っていた。

 あかねは原稿を描くのに夢中なのか、部屋にこもって夕食の席にも出てこなかった。ヨギナミに『サキは大学行ったら何するの?』と聞かれて困った。とりあえず文章書くよとしか言えなかった。そしたらヨギナミは、夏目漱石の『三四郎』に出てくる大学がものすごくつまらなさそうだったと話した。あのね、それ戦前の話だから。今の大学とは違うから。

 杉浦の影響でヨギナミの頭まで古くさくなっては困るので、伊藤ちゃんに送りつけられた恋愛小説リストをヨギナミに転送しておいた。君は現代の本を読むべきだと一言添えて。

 私、余計なことをしてるかな。

 ちょっと偉そうだったかな。

 でも、杉浦はマジでやめた方がいいと思う。

 心変わりしないかな。でも、変わった相手が勇気だったらちょっと複雑だ。

 私は別にもう興味ないけど。




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