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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年12月

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2017.12.7 木曜日 サキの日記

 スマコンと保坂が音楽室で変な歌を作っている。町議会の悪口と世の中への皮肉を混ぜたような歌。私は廊下でそれを聴きながら、結城さんがいた頃を思い出す。あの広い背中、抱かれた時の感触。しばし意識が別世界に飛ぶ。しかし『議会はベッドじゃな〜い!寝るな〜!』というバカっぽい歌声で我に返る。そして、気分を変えようと外に出る。

 ネットで、同じ大学を受ける子と偶然出会った。もともとは米津玄師の話で何度か盛り上がっていたんだけど、ふと『どこの学校?』という話になって、なんと同い年で、同じ大学を受ける子であることがわかった。


 でも、私が大学行くのって、

 就職したくないからなんだよね。

 何かやりたいことがあるからじゃなくて。


 と彼女は言う。


 世の中に出るのを、できるだけ遅らせたい。

 仕事して一人で生きていく自信がない。


 その気持ちよくわかるって話をしてたら、あかねが『夕飯できてるんだけど!?』と怒鳴ってドアを蹴った。

 夕食でその話したら平岸ママが、


 最初から自信のある子なんていないわよ。

 そのために大学に行くんでしょう。

 大学に行ってる間に準備すればいいのよ。


 と言った。平岸パパもうなずいた。あかねは反応しない。ヨギナミもしゃべらない。ヨギナミは高卒で就職するから、準備だの先延ばしだの言ってる私達のことはあまりよく思っていないかもしれない。

 とりあえず大学には受からなくては。

 勉強しよ。

 そういえば最近リオから連絡ないなと思ってLINEしてみたら、


 デザイナー志望の友達とニューヨークのアパートに住んでる。


 という。


 めっちゃボロい建物で、設備も古くて、シャワーがちゃんと出ることほとんどない。

 でもニューヨークに住めるだけで満足。いろんな人のファッションを生で見れて、みんなポジティブで楽しい!


 だそうだ。

 やりたいことがはっきりしていていいなと思う。

 でも、他人と比べててもしょうがない。

 私は今、受験に集中しないと。



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