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早紀と所長の二年半  作者: 水島素良
2017年11月

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2017.11.14 火曜日 河合先生への日誌 高谷修平

 現代文の課題送ってくれてありがとうございます。とっくに退学になった気分になっていたので、まだ生徒でいられるのは嬉しいです。

 クラスのみんなのことを思い出します。あいつら、自分がどれだけ幸せなのかわかってんのかなって思います。

 普通に朝起きて、朝食を食べて、学校に行って、帰りに遊んで。そのどれもが、みんなには当たり前のことでも、僕にとっては特別なことでした。

 外の世界を、普通の世界を知れたことは、とても幸せだったと思います。でも同時に、悲しくもあります。今の僕にはできないことだからです。

「普通の生活がしたい」

 これが、僕だけでなく、病気でなかなか外に出られない人全ての願いです。ただ病院内で寝るだけ、院内のコンビニをうろつくのだけが楽しみ、そういう生活じゃなく、僕達だってもっと外に出て人と関わって生きたい。社会に出たい。世の中の役に立つことをしたい。

 僕らみたいな人間がたくさんいることを、みんなにもっと知ってほしい。

 関心を持ってほしい。

 そのために何ができるか考えています。

 幸い、僕は秋倉で友達ができました。勇気が、今度病院に来るからドキュメンタリーを撮らせてほしいと言ってます。僕はいい考えだと思うのですが、今のところ、病院の許可がおりていません。

 他のやつらも毎日何か面白いことをLINEやインスタで知らせてくれます。

 たぶん僕はもう、前みたいに自由に歩き回れるようにはなりません。人生は病気との闘いになるでしょう。元からそうだったように。

 でも、神が僕に与えてくれた秋倉での貴重な時間は、きっと今後も僕を支えてくれると思います。部分的に悲しいところはあっても。





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